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死海で体が勝手に浮くのは塩分のせい?その正体とは

2026年7月 · 読了3分
死海で体が勝手に浮くのは塩分のせい?その正体とは

死海で体が浮くのは、塩分が水そのものを重くしているからです。死海の水は1リットルあたり約1.24キログラムで、人の体より重くなっています。

重い水は、軽いものを押し上げます。名前に「海」とつきますが、正体は出口のない湖です。

「海」と名のつく湖

死海はヨルダンとイスラエルにまたがる湖です。流れ込む川はヨルダン川だけで、流れ出す川がありません。

強い日ざしで水は蒸発していきますが、溶けていた塩分は出ていかず、湖に残り続けます。この繰り返しで塩分濃度は30パーセントを超えました。

海水はおよそ3.5パーセントですから、10倍近い濃さです。

体が浮くのは水が重いから

水に入った物には、押しのけた水の重さと同じ力が上向きに働きます。アルキメデスの原理です。

塩は水に溶けても体積をあまり増やさず、重さだけを足します。だから死海の水は1リットルで約1.24キログラム。

人の体は同じ1リットルでおよそ1キログラムなので、押しのけた水のほうが体より重くなり、体は水面へ押し上げられます

陸地で最も低い場所

死海の水面は海面よりおよそ430メートル低く、氷や水に覆われていない陸地としては地球上で最も低い場所です。ただしこの数字は年々変わります。

ヨルダン川の水が農業や生活に使われるようになり、流れ込む量が大きく減ったためです。ここ20〜30年は年に約1.2メートルのペースで水位が下がっています。

1970〜80年代の年0.7メートルより速いペースです。20世紀半ばの水面は海面下およそ400メートルでしたから、60年ほどで30メートル近く下がった計算です。

湖の南側では、塩を採るための蒸発池としても水がくみ出されています。

魚はいないが、生き物はいる

塩分が濃すぎて、魚やカエルのような大きな生き物は生きられません。「死海」という名前も、この事実から来ています。

ただし、まったくの無生物の湖ではありません。高度好塩菌と呼ばれる古細菌や、ドナリエラという緑藻が確認されています。

古細菌は細胞の中に塩化カリウムをためこみ、外側の濃さとつり合わせることで、水を吸い取られずにすんでいます。湖底の湧き水のまわりでは、緑や白の膜のような微生物の集まりも見つかりました。

場所は水深およそ30メートル。直径10メートルほどのくぼみが30か所ほど並び、そこから真水が湧き出していました。

膜をつくる細菌は、日光と湧き水にふくまれる硫化物の両方を使って生きています。

浮きやすい水は、泳ぎやすい水ではない

体が押し上げられるぶん、うつ伏せで泳ぐと足が浮いて姿勢が崩れます。あお向けで力を抜くほうが、死海では自然な浮き方です。

水が目や口に入ると強く痛みます。死海の塩は食塩とも中身が違い、塩化ナトリウムは一部にすぎません。

塩化マグネシウムや塩化カリウムが大きな割合を占めるため、味は塩辛さよりも苦みが立ちます。

死海に行く機会があれば、泳ごうとせず、あお向けで力を抜いてみてください。何もしなくても体は浮きます。その浮力を作っているのは、出口のない湖に残り続けた塩です。

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