火はなぜ赤い?炎の色のひみつ
炎が赤く見えるのは、燃えきらずに残った「すす」の粒が、熱せられて光っているからです。温度が上がるほど、その光は黄色から青白いほうへ寄っていきます。
ただし、ガスコンロの青い炎の青さは熱の色ではありません。炎の色は、性質の違う3つの仕組みが重なってできています。
光っているのは「すす」
物は温度が上がると、それ自体が光を出すようになります。真っ赤に熱した鉄が光るのと同じで、白熱と呼ばれる現象です。
ろうそくやたき火で光っているのは、炎という気体そのものではなく、燃えきらなかった炭素の微粒子、つまりすすです。空気が足りない状態で燃えるとすすが大量にでき、それが炎の熱であぶられて黄色い光を放ちます。
鍋の底が黒くなるのは、この粒がそのまま付着したものです。
温度が上がると、光は短い波長へ
熱で光る物の色は、温度だけで決まります。光の強さがピークになる波長と、その物の絶対温度をかけると、いつも約2.898×10⁻³メートル・ケルビンという同じ値になります。
ウィーンの変位則と呼ばれる関係です。温度が2倍になれば、ピークの波長は半分になる。
だから温度が低いうちは赤、上がるにつれて黄、さらに上がると青白へと色が寄っていきます。星の色から表面温度が分かるのも同じ理屈です。
太陽はピークが550ナノメートル付近にあり、表面温度はおよそ5270ケルビンと見積もられます。
ここに落とし穴があります。ろうそくのすすは、太陽の表面よりはるかに低い温度です。
ピークの波長は目に見えない赤外線の領域にあり、私たちが見ているのは、そのすそ野にあたる赤や黄の成分だけ。赤い炎は「赤い光を強く出している」のではなく、「赤い光しか可視光として届いていない」状態です。
温度が上がると、より短い波長の緑や青も出てくるので、色が混ざって黄から白へ、さらに青白へと変わります。
青い炎の青は、熱の色ではない
一方、ガスコンロの青は白熱とは別の仕組みです。空気とよく混ざったガスは完全に燃えるので、すすがほとんどできません。
すすがなければ、白熱の光も出ません。代わりに見えているのは、燃焼の途中で一瞬だけ生まれるCH(メチリジン)やC₂といった不安定な分子が、化学反応のエネルギーで直接放つ光です。
CHが出す光は波長430ナノメートル付近、ちょうど青の領域にあたります。青い炎が高温なのは事実ですが、その青さ自体を作っているのは温度ではありません。
無重力では、ろうそくも青く燃える
この説明が正しいことは、宇宙で確かめられています。NASAによれば、地上のろうそくの炎が涙のしずく形で黄色いのは、重力が生む上昇気流がすすを炎の先端へ運ぶからです。
重力がほとんど働かない宇宙では上昇気流が起きず、炎は球形になり、すすができないまま青く燃えます。ろうそくも酸素も同じなのに、重力の有無だけで色と形が変わるわけです。
温度で決まらない色もある
例外がもう一つあります。塩を含むものを燃やすと炎が黄色く、銅を含むものだと青緑になります。
これは炎色反応で、温度でも空気の量でもなく、元素ごとに決まった色です。花火の赤や緑もこの原理を使っています。
「炎の色は温度の目印」という言い方は目安としては便利ですが、万能の物差しではありません。
炎の色は、すすの白熱・分子そのものの発光・元素の炎色反応が重なった結果です。ガスコンロなら、根元の青い部分と、鍋底につくすすの黒を同時に観察できます。
次に火を見るときは、色の変わり目がどこにあるかを探してみてください。
参考にした資料