雑学

色の粉を掛け合う?インドの春祭りホーリー

2026年7月 · 読了3分
色の粉を掛け合う?インドの春祭りホーリー

ホーリーは、色の粉をかけ合って春の訪れを祝うヒンドゥー教の祭りです。ヒンドゥー暦ファールグナ月の満月に合わせて行われ、太陽暦では2月下旬から3月ごろにあたります。

前夜の焚き火と、翌日の色粉。この二つで一つの祭りです。

一晩と一日でひとつの祭り

ホーリーは、満月の夜と、明けた丸一日で構成されます。夜に大きな焚き火を焚くのがホーリカー・ダハン。

翌朝からが、色粉をかけ合うランガワーリー・ホーリー(ドゥレーティー)です。町に出れば、相手が友人でも通りすがりの人でも関係なく色が飛んできます。

祝うのは春の到来と冬の終わり、そしてこれから始まる春の実りです。日付が毎年ずれるのは、太陽暦ではなく月の満ち欠けを基準にした暦で決めているからです。

インドとネパールが中心ですが、南アジア出身の人々が暮らす世界各地でも行われています。

焚き火が燃やすのは、ホーリカー

祭りの名は、伝説に出てくるホーリカーから来ています。魔王ヒラニヤカシプは、神ヴィシュヌを信仰する息子プラフラーダをうとましく思いました。

そこで、火に焼かれない体を持つ妹ホーリカーに命じ、プラフラーダを抱いたまま火へ入らせます。ところが焼け死んだのはホーリカーのほうで、プラフラーダは無傷で助かりました。

焚き火は、この善が悪に勝った場面を毎年なぞる行事です。

色をかけ合う理由は、クリシュナの恋

色粉の由来は、焚き火とは別の話です。北インドのブラジ地方に伝わる伝承では、神クリシュナは自分の肌の色が濃いことを気にして、色白のラーダーに嫌われないかと母ヤショーダーに相談しました。

母の答えは「ラーダーの顔を好きな色に塗ってしまいなさい」。ここから、想う相手に色を塗る遊びが始まったとされます。

ブラジ地方のバルサナとナンドガオンでは、女性が棒を手に男性を追い返すラトマール・ホーリーが今も続きます。祭り自体は古く、7世紀の戯曲『ラトナーヴァリー』にすでにホーリーの描写があります。

身分の壁が、その日だけゆるむ

この祭りには、色を楽しむ以上の働きがあります。ふだん立場の低い人が、身分の高い人にも遠慮なく色水を浴びせられるのが、ホーリーの日だけ許されるふるまいです。

上下が一時的に入れ替わり、かけられた側はいたずらを笑って受け入れます。ただし日常の決まりが丸ごとひっくり返るわけではありません。祭りが終われば、人々は元の関係に戻ります。

色粉「グラール」は何でできているか

使われる色粉はグラールと呼ばれます。もとは植物由来で、パラーシュと呼ばれる木の花やターメリック、薬用のハーブなどから作られてきました。

今、街で売られているものの多くは合成染料です。安く、発色も鮮やかだからです。

一方で肌や目への影響を心配する声もあり、天然の材料に戻す動きも出ています。粉だけでなく、水鉄砲や風船に色水を詰めて撃ち合うのもホーリーの定番です。

参加するなら、汚れてもいい白い服と、髪や肌に塗るオイル、目を守るサングラスを用意してください。色は白い布にいちばん映えます。落ちにくさも込みで、その一日が土産になります。

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