雑学

同じ100円なのに買える量が変わる、その正体とは

2026年7月 · 読了2分
同じ100円なのに買える量が変わる、その正体とは

財布の中の100円玉は、昔も今も同じ100円です。ところが買えるものは時代によって変わります。

物やサービスの値段が全体として上がり続ける動きをインフレ、下がり続ける動きをデフレと呼びます。お金の値打ちは、金額そのものではなく物価の側で決まっているのです。

インフレとデフレの意味

インフレは、値段が全体として上がり続ける状態を指します。デフレはその逆で、下がり続ける状態です。

どちらも特定の一商品ではなく、世の中全体の値段の平均的な動きを表す言葉です。この平均をはかるために、総務省統計局が毎月「消費者物価指数」を発表しています。

2020年を100とした指数で、2025年平均の総合指数は111.9でした。5年前より11.9%高い水準です。

昭和40年の1万円は、今の約4万8000円

日本銀行の試算では、昭和40年(1965年)の1万円は、消費者物価指数でみて現在の約4万8000円にあたります。指数が23.9から114.0へ、およそ4.8倍になったからです。

同じ計算を企業どうしが取引する財の価格(企業物価指数)で行うと、倍率は2.6倍で約2万6000円にとどまります。何の値段を数えるかで、物価の伸び方は変わります。

同じ100円でも、時代によって買えるものが変わります。物価が上がれば同じ金額で買える量は減り、下がれば増えます。お金の値打ちは金額ではなく物価で決まるのです。

値段が動く仕組み

物価が上がる道筋は大きく2つあります。1つは、買いたい人が多いのに品物が足りず、値段が競り上がる場合です。

もう1つは、原材料費や輸送費、賃金といった作る側の費用が増え、それが売値に乗る場合です。輸入に頼る品目では、円安になると円で支払う仕入れ額が増えるため、後者の経路で値段が押し上げられます。

逆に売れ残りが続けば、企業は値段を下げて在庫をさばこうとします。

デフレが歓迎されない理由

値段が下がるのは、買う側にはうれしいはずです。それでも中央銀行がデフレを避けるのは、下落が連鎖するからです。

内閣府は、物価下落と生産活動の縮小が互いに作用しながら進む状態を「デフレスパイラル」と呼んでいます。売上が減れば賃金や雇用が削られ、人々は買い控え、値段はさらに下がります。

日本では消費者物価(生鮮食品を除く総合)が1999年秋以降に前年割れし、戦後初めての経験と記録されました。

目標がゼロではなく2%の理由

日本銀行は2013年1月に、消費者物価の前年比上昇率2%を「物価安定の目標」と定めました。狙いはゼロではなく、ゆるやかなプラスです。

日本銀行は、物価が大きく変動すると個々の価格を手がかりにした判断が難しくなり、効率的な資源配分が行われなくなると説明しています。上がりすぎず、下がりもしない状態を保つことが目的です。

ニュースで「物価上昇率」という数字を聞いたら、それは財布の中身の値打ちが動いた幅だと考えてみてください。金額ではなく買える量で見る癖をつけると、経済の話はぐっと身近になります。

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