子どもの深夜ゲームを止める法律があった?韓国のルール
韓国には2011年から10年間、16歳未満の子どもが深夜にオンラインゲームへログインできなくなる法律がありました。午前0時に遊べなくなることから、韓国では「シンデレラ法」とも呼ばれた制度です。
ただしこのルールは、2021年の年末で廃止されています。なぜ生まれ、なぜ10年で消えたのかをたどります。
午前0時に切れるゲーム
仕組みは単純でした。青少年保護法の改正として2011年5月19日に公布され、同じ年の11月20日に施行。
16歳未満は午前0時から6時までの6時間、パソコン向けのオンラインゲームに接続できなくなりました。会員登録のときに年齢を確認し、時間になったら接続を止める。
その手間とコストを負ったのはゲーム会社の側でした。家庭用ゲーム機やスマートフォンのゲームは、この時点で対象に入っていません。
導入をあと押しした不安
背景にあったのは、深夜までゲームを続ける子どもの睡眠不足です。のめり込みを心配する保護者の支持を受けて、規制は国会を通りました。
2014年4月24日には憲法裁判所も判断を示します。子どもにも遊ぶ自由はあるが、ゲームへの過度な依存は健康を損なう。
だから制限は許される、という理由で合憲とされました。
対象はパソコンだけ
この線引きが、のちに制度の弱点になります。韓国のゲーム市場は2018年の時点でモバイルが約47%、パソコンが約37%。
深夜に遊ばせないはずの法律が、いちばん身近な遊び方を素通りしていたことになります。パソコンの画面が消えても、手元のスマートフォンでは同じ時間に遊べたのです。
効果は確かめられなかった
実際に子どもの生活は変わったのでしょうか。2018年の医学誌「Journal of Adolescent Health」に載った研究が、2011年から2015年の調査データを使い、規制の対象だった年齢層とそれ以外を比べています。
結果は、施行直後にネットの利用時間が少し減っただけ。2013年以降はまた増え、ネット依存の割合にも睡眠時間にも意味のある変化は出ませんでした。
子どもたちが親の身分証を借りたり、海外のアカウントを作ったりして規制をすり抜けていたことも指摘されています。
10年で幕引き
2021年11月11日、国会は青少年保護法の改正案を可決します。制度は12月31日で終わり、10年の歴史を閉じました。
代わりに残ったのが、2012年から並行して動いていた「ゲーム時間選択制」です。18歳未満の本人か保護者が申し出れば、遊ばない時間帯を自分たちで決められます。
一律の禁止ではなく、選ぶ側にゆだねる仕組みです。廃止を後押ししたのは、スマートフォンの普及でした。
パソコンだけを止めても、深夜の遊びは手元の画面へ移っていたからです。
一律の遮断から、家庭ごとの取り決めへ。韓国が10年かけて出した答えは、遊ぶ時間を決めるのは法律ではなく本人と家族だ、というものでした。
夜ふかしとどう付き合うか。今度は各家庭が考える番です。
参考にした資料