音の速さは秒速何メートル?気温で変わる理由と雷までの距離
空気中の音の速さは、気温20度でおよそ秒速343メートルです。時速にすると約1235キロメートルで、1キロメートル進むのに約3秒かかります。
速さは気温で変わり、0度では秒速約331メートルまで落ちます。花火が開いてから音が届くまでの数秒は、この速さがそのまま見えている時間です。気温との関係式や雷までの距離の求め方、上空・水中・金属の中での速さまでを順にまとめます。
秒速343メートルという数字
乾いた空気の中を進む音の速さは、気温20度でおよそ秒速343メートルです。気温0度まで下がると、約秒速331メートルまで落ちます。
日常の気温の範囲では、音速(m/s)≒ 331.3 + 0.606 × 気温(℃)という近似式が使えます。気温が1度上がるごとに、秒速およそ0.6メートルずつ速くなるという意味です。
この式に当てはめると、気温30度の真夏は秒速約349メートル、マイナス10度の真冬は秒速約325メートルです。夏と冬で、1キロメートル先の音が届く時刻は0.2秒ほど違います。
よく聞く「秒速340メートル」は、気温15度のときの値にあたります。日本の日常的な気温帯に合わせた、覚えやすい丸い数字です。
光との差は約87万倍
光の速さは秒速約29万9792キロメートル。音より約87万倍も速いため、1キロメートル先の花火の光は約30万分の1秒で目に届きます。人間の感覚では完全に「同時」です。
いっぽう同じ1キロメートルを音が進むには約3秒かかります。つまり花火大会で見える光と聞こえる音のずれは、ほぼそのまま「自分と花火の距離」を表しています。
ずれが5秒あれば、打ち上げ場所まで約1.7キロメートルです。
雷までの距離を数える
この計算は雷のときにも使えます。アメリカ国立気象局(NWS)は、雷鳴は5秒でおよそ1マイル進むと説明しており、光ってから音までの秒数を5で割ればマイル単位の距離が出ます。
メートル法なら3秒で約1キロメートルと覚えると簡単です。光ってから9秒後に雷鳴が聞こえたら、雷までの距離は約3キロメートルです。
同じ資料によれば、雷鳴が聞こえる範囲はふつう落雷地点から約10マイル、およそ16キロメートルまで。それより遠い雷は、光は見えても音が届きません。
NWSはさらに、雷は雷雲から16キロメートルほど離れた場所にも落ちることがあると説明しています。雷鳴が聞こえる距離と雷が届く距離がほぼ同じなので、雷鳴が聞こえたら落雷の届く範囲にいる可能性が高い、というのがNWSの見方です。
ちなみに雷鳴そのものも、音の仕組みで生まれます。稲妻が通ると周りの空気は華氏5万度(約2万8000度)まで一気に熱せられ、急激にふくらみます。この空気の膨張が圧力の波となって広がったものが、雷鳴です。
音の速さはこうして測られた
光と音のずれで距離を知る方法は、そのまま音速を測る方法として使われてきました。17世紀の学者たちは、距離のわかっている場所で銃を撃ってもらい、閃光が見えてから音が聞こえるまでの時間を振り子で計りました。
1630年にフランスのマラン・メルセンヌが出した値は秒速448メートルで、今の値よりかなり速すぎました。1709年にはイギリスのウィリアム・ダーラムが、教会の塔から望遠鏡で遠くの銃の閃光を見て、半秒刻みの振り子で音の遅れを測りました。距離は三角測量で求め、何度も測るうちに、風が聞き手に向かって吹くと音が速く届くことにも気づいています。
理論のほうは遠回りをしました。ニュートンは1687年の著書『プリンキピア』で音速を計算しましたが、結果は実測より約15%も遅い値でした。音の波で空気が押し縮められると、その瞬間だけ温度が上がります。この効果を見落としていたのが原因で、19世紀にラプラスが正しく説明するまで、ずれの理由はわかりませんでした。
家でも同じ原理を試せます。大きな壁や校舎から約170メートル離れて手をたたくと、音は往復340メートルを進み、約1秒後にこだまが返ってきます。
なぜ気温で速さが変わるのか
音は空気そのものが移動する現象ではなく、空気の粒が押し合いへし合いして伝わる圧力の波です。粒が速く動いているほど、隣の粒へ振動が早く受け渡されます。
気温が高い空気ほど粒の動きが速いので、音も速く進むわけです。NASAの解説でも、音速は気体の種類とその温度で決まる量として説明されています。
意外なのは、気圧が直接は効かないことです。NASAが示す式には温度と気体の性質だけが入り、気圧は入っていません。気圧が下がると空気は薄くなりますが、押し返す力も同じ割合で弱まるため、効果が打ち消し合います。
湿った空気は乾いた空気よりわずかに速く、その差は0.1から0.6パーセントほどです。空気中の酸素や窒素の一部が、それより軽い水の分子に置き換わるためです。
上空では音が遅くなる
空の上は気温が低いので、音も遅くなります。英語版ウィキペディアに載っている標準的な値では、気温15度の海面付近で秒速340メートル(時速1225キロメートル)です。
旅客機が飛ぶ高度1万1000〜2万メートルは気温がマイナス57度ほどで、音速は秒速295メートル(時速1062キロメートル)まで落ちます。海面付近より1割以上遅い計算です。
飛行機の速さを表す「マッハ」は、物の速さをその場所の音速で割った値です。同じマッハ1でも、地上付近と上空では時速にして160キロメートルほど違います。マッハは決まった速さの単位ではなく、周りの空気の条件で中身が変わる物差しなのです。
水や金属の中ではもっと速い
音の速さは気体の中でいちばん遅く、液体、固体の順に速くなります。固くて変形しにくい物質ほど、振動が素早く隣へ伝わるためです。
| 伝わるもの・条件 | 音の速さ(秒速) | 空気20度との比 |
|---|---|---|
| 空気(上空1万1000〜2万m、約−57度) | 約295m | 約0.86倍 |
| 空気(0度) | 約331m | 約0.97倍 |
| 空気(20度) | 約343m | 1倍 |
| 真水(20度) | 約1481m | 約4.3倍 |
| 海水 | 約1500m | 約4.4倍 |
| 鉄 | 約5120m | 約15倍 |
| ダイヤモンド | 約1万2000m | 約35倍 |
水の中の音速を初めて測ったのは、1826年、スイスとフランスにまたがるレマン湖での実験です。コラドンとシュトゥルムは10キロメートル離れた2そうの船に分かれ、水上で火薬を光らせると同時に水中で鐘を鳴らしました。光が見えてから鐘の音が届くまでの時間から求めた値は、水温8度で秒速1437.8メートル。現代の値との差は秒速1メートルほどでした。
光と音のずれで距離を測るという発想は、花火や雷の計算と同じです。プールにもぐったときに音の聞こえ方が変わるのも、水中では音が空気の4倍以上の速さで進むことが関わっています。
よくある疑問
- 音の速さは時速何キロですか?
- 気温20度の空気中で秒速約343メートル、時速にすると約1235キロメートルです。気温15度なら時速約1225キロメートルで、気温が低いほど遅くなります。
- マッハ1は時速何キロですか?
- 決まった値はありません。マッハ1はその場所の音速と同じ速さなので、海面付近の気温15度では時速約1225キロメートル、旅客機が飛ぶ上空では時速約1062キロメートルです。
- 雷までの距離はどう計算しますか?
- 光ってから雷鳴が聞こえるまでの秒数を数え、3で割るとおおよそのキロメートルが出ます。9秒なら約3キロメートルです。雷鳴が聞こえるのはふつう約16キロメートル以内です。
まとめ
空気中の音の速さは気温20度で秒速約343メートルで、気温が1度上がるごとに約0.6メートル速くなります。気圧は直接は効かず、上空で音が遅くなるのは気温が低いからです。
光は音の約87万倍速いので、光と音のずれを数えれば距離がわかります。次の花火大会では、光が開いた瞬間から秒数を数えてみてください。その数字に340をかければ、打ち上げ場所までのおおよその距離が出ます。
参考にした資料