花火の音が遅れて届くのは、音の速さのせい
花火が開いてから音が届くまでの間は、音の遅さがそのまま見えている時間です。空気中の音の速さは気温20度でおよそ秒速343メートル。
光は秒速約30万キロメートルなので、差は約87万倍にもなります。この差が、あの数秒のずれをつくっています。
秒速343メートルという数字
乾いた空気の中を進む音の速さは、気温20度でおよそ秒速343メートルです。気温0度まで下がると、約秒速331メートルまで落ちます。
0度付近では、気温が1度上がるごとにおよそ秒速0.6メートル速くなるという関係が使われます。よく聞く「秒速340メートル」は、日本の日常的な気温帯に合わせた丸い数字です。
夏の花火大会と真冬の空気とでは、同じ距離でも音の届く時刻がわずかに違います。
光との差は約87万倍
光の速さは秒速約29万9792キロメートル。音より約87万倍も速いため、1キロメートル先の花火の光は約30万分の1秒で目に届きます。人間の感覚では完全に「同時」です。
いっぽう同じ1キロメートルを音が進むには約3秒かかります。つまり花火大会で見える光と聞こえる音のずれは、ほぼそのまま「自分と花火の距離」を表しています。
ずれが5秒あれば、打ち上げ場所まで約1.7キロメートルです。
雷までの距離を数える
この計算は雷のときに役立ちます。アメリカ国立気象局(NWS)は、雷鳴は5秒でおよそ1マイル進むと説明しており、光ってから音までの秒数を5で割ればマイル単位の距離が出ます。
メートル法なら3秒で約1キロメートルと覚えると簡単です。同じ資料によれば、雷鳴が聞こえる範囲はふつう約10マイル、およそ16キロメートルまで。
それより遠い雷は、光は見えても音が届きません。逆に言えば、雷鳴が聞こえた時点で雷雲は16キロメートル以内にあります。
NWSが「雷鳴が聞こえたら屋内へ」と呼びかけているのは、この距離感が理由です。
なぜ気温で速さが変わるのか
音は空気そのものが移動する現象ではなく、空気の粒が押し合いへし合いして伝わる圧力の波です。粒が速く動いているほど、隣の粒へ振動が早く受け渡されます。
気温が高い空気ほど粒の動きが速いので、音も速く進むわけです。NASAの解説でも、音速は気体の種類とその温度で決まる量として説明されています。
気圧そのものが直接効いているのではありません。湿った空気は乾いた空気よりわずかに速く、その差は0.1から0.6パーセントほどです。
水や金属の中ではもっと速い
音の速さは空気の中でいちばん遅くなります。20度の真水の中では秒速約1481メートルで、空気のおよそ4.3倍。
鉄の中では秒速約5120メートルに達し、空気の約15倍です。固くて変形しにくい物質ほど、振動が素早く隣へ伝わるためです。
プールにもぐったときに音の聞こえ方が変わるのは、この性質が関わっています。
次の花火大会では、光が開いた瞬間から声に出して秒数を数えてみてください。その数字に340をかければ、自分から打ち上げ場所までのおおよその距離が分かります。
参考にした資料