サグラダ・ファミリアはなぜ140年以上も未完成なのか
スペインのバルセロナに立つサグラダ・ファミリアの中心で、2026年2月20日、いちばん高い「イエスの塔」の頂上に十字架が据えられました。着工は1882年3月19日ですから、144年目にしてようやく最高点に届いたことになります。
それでも建物全体はまだ完成していません。なぜこれほど時間がかかっているのか、大きな理由は3つあります。
最初の設計者はガウディではない
1882年3月19日、教会の礎石が置かれました。最初に図面を引いたのはフランシスコ・デ・パウラ・デル・ビリャールという建築家で、とがったアーチの窓や飛梁を並べた、ごく普通のネオゴシック様式の計画でした。
アントニ・ガウディが引き継いだのは翌1883年です。ガウディは設計を根本から作り替え、1914年からはこの教会だけに専念しました。
1926年に亡くなるまでに完成を見られたのは、生誕のファサードに立つ鐘塔がたった1本(1925年完成の聖バルナバの塔)だけです。
お金は寄付と入場料しかない
サグラダ・ファミリアは「贖罪教会」と呼ばれ、国や自治体の補助金を受け取りません。資金は信者からの寄付と、見学者が払う入場料だけです。
お金が集まらない年は工事の手が止まる。140年以上かかった最大の理由は、設計の難しさよりもここにあります。
内戦で設計図が焼けた
1936年、スペイン内戦が起きます。工房が襲われ、図面と写真は焼かれ、石膏模型は粉々に砕かれました。
ガウディは平面の図面よりも立体模型で形を考える建築家だったので、失われたものはとりわけ大きいものでした。その後の建設は、砕けた模型のかけらを拾い集め、出版物に残っていた写真と突き合わせて設計を復元するところから始めるしかありませんでした。
工事が遅れた理由のうち、これがいちばん厄介な部分です。
137年間、建築許可がなかった
1885年、教会の関係者は地元サン・マルティの町役場に建築許可を申請しました。ところが役場から返事は来ません。
そのまま誰も気づかず、無許可のまま工事が続いていたと判明したのは2016年のことです。バルセロナ市が正式な許可を出したのは2019年6月、申請から134年後でした。許可にかかった費用は460万ユーロです。
2026年、世界一高い教会になった
2026年2月20日、高さ17メートル・幅13.5メートルの十字架の最後の部材が空中で組み上げられ、イエスの塔は公式の高さ172.5メートルに達しました。これで世界でいちばん高い教会になりました。
ガウディの没後100年にあたる6月10日には、この塔の祝別式が行われています。ただし正面の「栄光のファサード」や周辺の整備、塔の内部の工事はまだ残っています。
「未完成」という看板は、もうしばらく外れません。バルセロナを訪ねる予定があるなら、クレーンと足場が写り込む今の姿を写真に残しておくことをおすすめします。
この景色を見られる時間は、144年かけてようやく終わりに近づいています。
参考にした資料