豆腐はなぜ固まる?にがりのはたらき
豆腐が固まるのは、にがりに含まれるマグネシウムイオンが、大豆のタンパク質どうしを結びつけて網目を作るからです。ただし、にがりだけでは固まりません。
その前に豆乳を加熱して、タンパク質をほどいておく必要があります。豆腐は「熱」と「にがり」の二段構えでできています。
つるんとやわらかい豆腐。もとをたどれば、コップに注げるさらさらの液体です。
しかも木綿豆腐は100gのうち85.9gが水分で、絹ごし豆腐なら88.5gが水分です。ほとんど水なのに、手のひらにのせても崩れません。
豆腐のもとは液体の豆乳
出発点は、水にひたした大豆をすりつぶし、煮てから絞った「豆乳」です。この中に大豆のタンパク質が溶け込んでいます。
主役はグリシニン(11S)とβ-コングリシニン(7S)という2種類で、大豆のタンパク質全体の6〜8割を占めます。ただしこの段階では、タンパク質の粒子どうしがマイナスの電気で反発し合い、ばらばらに漂っています。豆乳が液体のままなのは、そのためです。
熱がタンパク質をほどく
豆乳を作る工程には、必ず加熱が入ります。ここが最初の仕掛けです。
β-コングリシニンは65〜75℃、グリシニンは85〜95℃で変性します。丸まっていたタンパク質がほどけ、内側に隠れていた疎水基(水になじまない部分)が表面に出てきます。
くっつくための「のりしろ」が現れた状態です。それでも粒子は電気で反発し合ったままなので、加熱だけでは固まりません。
にがりが反発を打ち消す
にがりの主成分は塩化マグネシウム。海水から塩を取り除いた残りの液です。
プラスの電気を帯びたマグネシウムイオンがタンパク質表面のマイナスの電気を打ち消すと、反発を失った粒子どうしが疎水基やジスルフィド結合で次々につながり、立体的な網目に育ちます。この網が水を抱え込んだまま全体を支えるので、液体だった豆乳がぷるんと固まります。
農林水産省の解説では、豆乳が70〜80℃まで下がってからにがりを入れる、と説明されています。
卵とはきっかけの数が違う
タンパク質が網を作って固まる点は、卵とよく似ています。違うのはきっかけの数です。
卵は加熱するだけで白身が固まります。豆腐は加熱してもそのままでは固まらず、にがりを加えて初めて固まります。
固める材料はにがりだけではありません。ゆっくり固まる硫酸カルシウム(すまし粉)や、酸性に傾けて固めるグルコノデルタラクトンも使われます。
木綿と絹ごしを分けるのも固め方
固めたあとの扱いで、豆腐の種類が分かれます。木綿豆腐は、固まったものをいったん崩し、布を敷いた型に入れて重しで水を抜いたものです。
絹ごし豆腐は、濃い豆乳を型に流してそのまま固めるので、水を抜きません。絹の布でこしているわけではないのです。
水を絞る木綿のほうが成分は濃くなり、タンパク質は100gあたり7.0g。絹ごしは5.3gです。
いつもの冷や奴も、熱でほどけたタンパク質をにがりが結び直した網でできています。次に豆腐を買うとき、パッケージの原材料名を見てみてください。
「凝固剤(塩化マグネシウム)」と書いてあれば、それがにがりです。
参考にした資料