月はなぜ裏側を見せない?地球との関係
月がいつも同じ面だけを地球に向けているのは、月が1回自転する時間と、地球のまわりを1周する時間がぴったり同じだからです。どちらも約27日。
これは偶然そろったのではなく、地球の重力が長い時間をかけて月の回転にブレーキをかけた結果です。この状態を「潮汐ロック」と呼びます。
自転も公転も約27日
月は自分でくるりと回る「自転」をしながら、地球のまわりを回る「公転」もしています。NASAの解説によると、月が1回自転するのにかかる時間は約27日。
地球を1周するのにかかる時間も、同じく約27日です。この二つが一致しているため、地球から見える面がいつまでも入れ替わりません。
なお、地上で満ち欠けを追うと月の周期は約29日に感じられます。地球自身も太陽のまわりを動いているので、その分だけ長くなるのです。
だから同じ面が向き続ける
自転と公転の時間が一致していると、月は地球のまわりを回りながら、常に同じ面を地球に向け続けます。運動場のトラックを、いつも中央を向いたまま一周する姿を思い浮かべてください。
外から見ている人には、あなたの顔しか見えません。地球と月のあいだで起きているのも、これと同じことです。
ブレーキをかけたのは地球の重力
では、なぜ時間がそろったのでしょうか。NASAの説明では、生まれたばかりのやわらかい月は地球の重力に引っ張られ、ラグビーボールのようにわずかにゆがみました。
月が速く自転すると、このふくらみは地球の方向から少しずれます。すると重力がふくらみを引き戻そうとし、回転を弱める力として働きます。
摩擦で熱に変わりながら自転はだんだん遅くなり、公転と同じ速さになったところで力がつり合って落ち着きました。この重力のやりとりは今も続いていて、月は1年に約3.8センチメートルずつ地球から遠ざかっています。
本当は59パーセントが見えている
「地球からは月の半分しか見えない」と言われますが、実際に見えているのは約59パーセントです。月の軌道は真円ではなく少しつぶれた楕円で、地球から遠いときと近いときで進む速さが変わります。
自転の速さは一定なので、そのずれの分だけ月が首を振るように見え、ふだんは隠れている縁がのぞきます。軌道が傾いているため、上下方向にも同じ現象が起こります。
この揺れは「秤動(ひょうどう)」と呼ばれます。つまり、地上から絶対に見えないのは残りの約41パーセントです。
裏側の顔は表側とまるで違う
人類が初めて裏側を目にしたのは1959年10月でした。ソ連の探査機ルナ3号が撮影に成功し、画像を地球へ送ってきたのです。
そこに写っていたのは、表側でおなじみの黒い平原「月の海」がほとんどない、クレーターだらけの地形でした。その後の調査で、月の海は表側の約31パーセントを覆う一方、裏側では約1パーセントにとどまることが分かっています。
NASAの重力探査機グレイル(GRAIL)の観測では、裏側の地殻は表側より平均で約20キロメートル厚く、溶岩が地表まで届きにくかったと考えられています。2019年1月には中国の嫦娥4号が裏側への着陸に成功しました。
ちなみに、裏側は「暗い側」ではありません。新月のときは裏側が昼で、地球を向いた面のほうが夜です。
今夜見えている顔の向こう側にも、クレーターだらけの昼があります。月を眺めるときは、見えていない41パーセントの地形を思い浮かべてみてください。
参考にした資料