1兆秒を時間に直すと、驚きの約3万年になる
1兆秒は約3万1700年です。1兆円や1兆個という言葉は日常に出てきますが、秒に置き換えたとたん、人類の歴史がまるごと入るほどの長さになります。
桁が3つ増えただけで、感覚が追いつかなくなる。その落差を計算で確かめます。
まず割り算してみる
1年の長さは、季節が一巡する時間で測ると365.2422日です。1日は86,400秒ですから、1年はおよそ3155万6926秒。
1兆をこの数で割ると、答えは31,688.7になります。つまり1兆秒は約3万1700年、ざっくり言えば約3万年です。
うるう年の数え方を多少変えても、答えが3万1700年前後から動くことはありません。
100万・10億・1兆の落差
同じ「大きい数」でも、秒に直すと差がはっきりします。100万秒は約11.6日、10億秒は約31.7年、1兆秒は約3万1700年。
100万秒は長めの夏休み、10億秒はひとの人生の3分の1ほどです。ところが10億秒から1兆秒までは、そこからさらに1000倍離れています。
「1億円」と「1兆円」は字面では一字違いですが、実際には1万倍の開き。桁が増えるという言葉が意味しているのは、この距離です。
1兆秒前の日本列島
1兆秒前がいつなのかを考えると、長さが実感に変わります。約3万1700年前は、後期旧石器時代のただ中です。
東京大学によれば、ホモ・サピエンスが日本列島にやってきたのは約3万8000年前。1兆秒前の日本列島には、すでに人が暮らしていました。
海部陽介教授らの研究チームは2013年から2019年にかけて、当時あった材料と道具だけで丸木舟を作り、台湾から与那国島までの200kmを超える航路を渡る実験に取り組みます。2019年7月、舟は45時間かけて与那国島にたどり着きました。
1兆秒とは、その丸木舟の時代から今日までを一続きに数えた長さです。
そもそも1秒とは何か
秒はかつて地球の自転をもとに決められていましたが、自転の速さは一定ではありません。現在の基準はセシウム133という原子です。
米国国立標準技術研究所(NIST)の説明では、セシウム133原子の基底状態にある2つの状態のあいだを行き来する電磁波の周波数を9,192,631,770ヘルツと定め、その振動を9,192,631,770回数えた時間が1秒とされています。1兆秒を数え切るには、この振動を約92垓回、数字で書けば9.2のうしろに0が21個並ぶ回数だけ数えることになります。
大きな数は体の単位に翻訳する
大きな数の感覚が狂うのは、私たちが数を桁ではなく文字の見た目で受け取ってしまうからです。対策は単純で、時間や距離のように体で分かる単位へ翻訳することです。
1兆円を1秒に1円ずつ使い続けると、使い切るまでに約3万1700年かかります。1億円なら3年2か月ほど。
同じ「大金」でも、時間に直せばまったく別物だと分かります。
1兆秒=約3万1700年。この物差しを1つ持っておくと、桁の大きなニュースが自分の時間感覚と結びつきます。
次に「兆」という字を見かけたら、まず秒に置き換えて何年になるかを計算してみてください。
参考にした資料