科学

光年は時間じゃない?距離を表す単位の正体

2026年7月 · 読了2分
光年は時間じゃない?距離を表す単位の正体

光年は、時間ではなく距離の単位です。光が1年間に進む長さを1光年と決めたもので、その距離は約9兆4600億キロメートルになります。

名前に「年」が入っているせいで時間と誤解されますが、はかっているのはあくまで長さです。

1光年は約9兆4600億キロメートル

光年は距離を表す単位です。日本天文学会の天文学辞典によれば、1光年は9.46×1012キロメートル、つまり約9兆4600億キロメートルにあたります。

光の速さは秒速およそ30万キロメートル。地球を1秒間に7周半できる速さで1年間進み続けた距離が、1光年です。

なぜ「年」でものさしを作るのか

星までの距離をキロメートルで書くと、桁が多すぎて扱いにくくなります。太陽系にいちばん近い恒星プロキシマ・ケンタウリまでは約4.2光年ですが、キロメートルに直すとおよそ40兆キロメートル。

読むだけでひと苦労な数字です。光が進む距離をものさしにすれば、同じ距離を「4.2」という短い数字で表せます。

長さの単位に時間の言葉を借りているのは、この使いやすさのためです。

星までの距離を初めて測った人

星の距離が実際に測られたのは、1838年のことです。ドイツの天文学者フリードリヒ・ベッセルが、はくちょう座61番星を1年以上にわたって観測しました。

地球が太陽のまわりを回ることで生じる、星の見かけの位置のわずかなずれ(年周視差)から距離を割り出したのです。ベッセルが捉えたずれは、わずか0.3秒角ほど。

1度の1万分の1にも満たない角度でした。太陽以外の星までの距離を測った、最初の成功例です。

欧州宇宙機関の位置天文衛星ガイアは、この功績にちなんで最後の観測画像にはくちょう座61番星を選んでいます。

遠くを見ることは、過去を見ること

光年で距離を語ると、時間の話も自然についてきます。太陽の光が地球に届くまでには約8.3分かかるので、私たちが見ている太陽は8分ほど前の姿です。

プロキシマ・ケンタウリなら4.2年前の光。約250万光年先にあるアンドロメダ銀河を望遠鏡でのぞけば、映るのは250万年前の姿です。

遠い天体をながめることは、そのまま宇宙の過去をながめることになります。

天文学者はパーセクを使う

専門の天文学では、光年よりパーセクという単位のほうがよく使われます。1パーセクは3.26光年、逆に1光年は0.307パーセクです。

パーセクは「年周視差が1秒角に見える距離」という意味の単位で、ベッセルが使った測り方とそのまま結びついています。太陽系の中の距離には、地球と太陽の平均距離を1とする天文単位(au)を使います。

1光年は約6万3200天文単位。それでも光年がニュースや教科書で使われ続けているのは、専門家以外にとって意味が伝わりやすいからです。

次に「◯◯光年先の惑星」というニュースを見たら、その数字を2通りに読んでみてください。そこまでの距離であり、同時に、いま届いた光が旅してきた年数でもあります。

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