コップの外側になぜ水滴がつく?結露のしくみ
冷たいコップの外側につく水滴は、中身がしみ出したものではありません。まわりの空気にひそんでいた水蒸気が、コップに冷やされて水に戻ったものです。
この現象を結露といいます。空気が水蒸気を抱えられる量に、温度ごとの上限があるために起こります。
空気が抱えられる水の量には上限がある
空気の中には、目に見えない水が気体の形で混ざっています。これが水蒸気です。
1立方メートルの空気に入る水蒸気の量には上限があり、これを飽和水蒸気量といいます。上限は気温で大きく変わります。
20℃の空気なら約17グラム、30℃なら約30グラム。ところが10℃まで下がると、約9グラムしか入りません。
水面では、水の分子がたえず飛び出して気体になっています。同時に、気体の分子は水へ戻っています。
温度が高いほど飛び出す勢いが強く、気体のままでいられる分子が増える。だから暖かい空気ほど、多くの水蒸気を抱えていられるのです。
「露点」を下回ると水に戻る
気象庁は露点温度を、水蒸気の量を変えずに温度を下げたとき相対湿度が100%になる温度と定義しています。露点は、空気が水蒸気を抱えきれなくなる境目です。
コップの表面がこの温度より冷たいと、触れた空気はあふれた分を手放し、水滴になって表面に並びます。
冷やされるのは、コップの表面から数ミリの薄い空気の層だけです。部屋じゅうが濡れないのはそのためです。氷を足すほど表面の温度は下がり、水滴の量も増えていきます。
湿度が高い日ほど水滴が増える
同じ氷水でも、水滴のつき方は日によって変わります。湿度が高い日は空気にすでに水蒸気が多く、露点そのものが高くなります。
少し冷やされただけで露点に届くので、コップはびっしり濡れます。露点が25℃の空気なら、25℃より冷たいものは何でも濡れる計算です。
逆に、空気が乾いた冬は露点が低くなります。氷水を注いでもコップがほとんど濡れないことがあるのは、そのためです。
結露を決めるのは冷たさだけではなく、冷たさと湿り気の組み合わせなのです。
冬の窓ガラスも同じしくみ
冬に窓がくもり、水滴が流れ落ちるのも結露です。暖かく湿った室内の空気が、外気で冷えたガラスに触れて水に戻ります。
国土技術政策総合研究所はこれを表面結露と呼び、防ぐことでカビ、ダニ、腐朽菌の増加を抑えられると説明しています。同じ資料によれば、灯油を1リットル燃やすと1.13キログラムの水蒸気が室内に出ます。
ストーブと加湿器を同時に使えば、窓が濡れるのも当然です。対策は二つ。
断熱で窓の表面温度を下げすぎないことと、換気で室内の湿度を50〜60%に保つことです。
露点をはかる道具は1820年に生まれた
露点は、見た目では分かりません。英国の化学者ジョン・フレデリック・ダニエルは1820年、露点湿度計を発明しました。
エーテルを入れたガラス球を冷やし、表面がくもった瞬間の温度を読む装置です。人の手で小さな結露を起こし、その温度を測る。
この道具が広く使われるようになり、空気の湿り具合を数値で比べられるようになりました。
コップの水滴は、空気がずっと抱えていた水が姿を現したものです。次に水滴を見つけたら、窓辺も見てください。
同じ日に窓まで曇っているなら、部屋の空気が湿りすぎているサインです。換気扇を回すか窓を少し開けるだけで、カビの出やすさは変わります。
参考にした資料