科学

砂糖はなぜ水に溶ける?水の分子のはたらき

2026年7月 · 読了3分
砂糖はなぜ水に溶ける?水の分子のはたらき

砂糖が水に溶けるのは、水の分子が砂糖の分子を一つずつ引きはがし、まわりを取り囲んで運び去るからです。砂糖の分子そのものは壊れていません。だから、姿が消えても甘さだけはしっかり残ります。

コップの水に砂糖を入れてかき混ぜると、白い粒はすっと消えてなくなります。でも、消えたわけではありません。

甘さが残っているのですから、砂糖はどこかにいるはずです。いったい何が起きているのでしょうか。

砂糖のかたまりは分子の積み木

角砂糖やグラニュー糖の粒は、ショ糖(スクロース)という分子が規則正しく積み重なった結晶です。ショ糖はブドウ糖と果糖が一つずつ結びついたもので、分子式はC12H22O11。

炭素12個、水素22個、酸素11個でできています。この分子どうしが水素結合という弱い力で手をつなぎ合い、白い結晶の形を保っています。

目に見える一粒は、その積み木が数えきれないほど重なったものです。

水の分子が手を横取りする

ショ糖の分子には、酸素と水素が組になった水酸基(-OH)が8個ついています。水の分子も同じ仲間の手を持っているので、砂糖どうしがつないでいた手を次々に横取りしてしまいます。

結晶の表面から分子が一つずつはがれ、何個もの水の分子に取り囲まれたまま水の中へ散っていく。これが「溶ける」の正体です。

このとき、炭素や水素をつなぐ結合そのものは切れません。ショ糖はショ糖のまま散らばるので、甘さは失われないのです。

塩の溶け方とは違う

同じ「溶ける」でも、食塩は事情が違います。食塩は水の中でナトリウムと塩素のイオンにばらばらに分かれます。

分かれた粒が電気を帯びているので、食塩水は電気を通します。いっぽう砂糖は分子のまま散らばるだけなので、砂糖水に電極を入れても豆電球はつきません。

溶ける量も大きく違い、20℃の水100グラムに砂糖は約200グラム溶けるのに対し、食塩は約36グラムまでです。

お湯なら早く、たくさん溶ける

温度が上がると水の分子は激しく動き回り、砂糖の分子にぶつかってはがす回数が増えます。だからお湯のほうが早く溶けます。

早いだけでなく、溶ける限界そのものも上がります。水100グラムに溶ける砂糖は、20℃で約200グラム、100℃では約476グラム。

食塩は温度を上げてもほとんど増えないので、これは砂糖の大きな特徴です。かき混ぜると早く溶けるのも理屈は同じで、結晶のまわりにたまった濃い砂糖水を押しのけ、新しい水を触れさせているからです。

冷やすと砂糖は戻ってくる

熱い湯にめいっぱい砂糖を溶かしてから冷ますと、溶けきれなくなった分が結晶になって出てきます。氷砂糖づくりや、夏休みの自由研究で人気の砂糖の結晶づくりは、この温度差を利用したものです。

水の分子の動きがにぶると、砂糖の分子はふたたび手をつなぎ直して積み木に戻る、というわけです。

アイスコーヒーにガムシロップが添えられているのは、冷たい水では砂糖が溶けにくいからです。どうしても砂糖を使いたいときは、粒の細かい粉砂糖を選ぶか、先に少量のお湯で溶かしてから注いでみてください。

水の分子が働きやすくなり、底に沈む砂糖がぐっと減ります。

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