科学

どんな三角形でも角度の和が必ず180度になる

2026年7月 · 読了3分
どんな三角形でも角度の和が必ず180度になる

紙にでたらめな三角形を描いても、3つの角を足すと必ず180度になります。細長くても、ゆがんでいても答えは同じです。

この決まりは2300年ほど前の数学書で、すでに証明されていました。ただし成り立つのは、平らな面に描いた三角形だけです。

紙をちぎれば確かめられる

特別な道具はいりません。紙に三角形を描いて切り抜き、3つの角を1つずつちぎります。

そして、とがった部分の頂点をそろえて横に並べてください。すき間も重なりもなく、きれいな一直線になります。

まっすぐな線の角度は180度です。分度器で測らなくても、3つの角の合計が180度だと目で確かめられます。

理由は平行線にある

なぜそうなるのか。三角形の頂点を1つ選び、その点を通って向かい側の辺と平行な直線を引きます。

平行な2本の直線を別の直線が横切るとき、斜め向かいにできる角どうしは等しくなります。これを錯角といいます。

この性質を使うと、離れた場所にあった2つの角が、引いた直線の上にそのまま移ってきます。頂点のまわりに3つの角が並び、全体でまっすぐな線になる。だから合計は180度です。

平らな面に描いた三角形なら、3つの角を合わせると必ず180度になります。細長い三角でも、ゆがんだ三角でもこの答えは変わりません。

証明したのはユークリッド

この証明を書き残したのは、紀元前300年ごろのギリシャの数学者ユークリッドです。数学書『原論』の第1巻、命題32にあたります。

そこには「三角形の1辺を延長してできる外角は、隣り合わない2つの内角の和に等しい。そして3つの内角の和は2直角に等しい」と書かれています。

2直角とは直角2つぶん、つまり180度のことです。証明の手順も、平行線を1本引くという先ほどの方法そのものでした。

平行線の決まりとセット

この法則は、単独では成り立ちません。土台になっているのは『原論』の5番目の公準、いわゆる平行線公準です。

「直線の外にある1点を通り、その直線と平行な直線は1本だけ引ける」という決まりで、証明せずに認めるルールとして置かれています。面白いことに、この公準と「内角の和は180度」は、互いに言いかえられる関係にあります。

片方を認めればもう片方が導け、片方を捨てればもう片方も崩れます。

地球の上なら270度

崩れる場面は実際にあります。曲がった面です。

地球儀の北極から赤道まで線を引き、赤道に沿って4分の1周だけ東へ進み、そこからまっすぐ北極へ戻ります。できあがった三角形の角は3つとも直角で、合計は270度です。

球面の三角形の内角の和は180度より大きく、540度近くまで大きくなります。はみ出した分は球面過剰と呼ばれ、その大きさは三角形の面積に比例します。

反対に、馬の鞍のようにへこんだ面では和は180度より小さくなります。

180度という答えは、平らな面という土台の上で成り立つ約束です。土台が変われば答えも変わります。

地球儀と糸が手元にあれば、北極と赤道を結んで直角3つの三角形を作ってみてください。教科書の180度が「平面かぎり」の話だと、手を動かした瞬間に納得できます。

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