自然

雪の結晶はなぜ六角形?水の分子が決めていた

2026年7月 · 読了3分
雪の結晶はなぜ六角形?水の分子が決めていた

雪の結晶が六角形になるのは、水の分子が凍るときに六角形の格子を組むからです。形を決めているのは水そのもののルールで、雪だけの特別な事情ではありません。

ただし、細かい模様は一粒ごとに違います。骨組みは分子が決め、模様は空を落ちる道すじが描くからです。

六角形を決めているのは水の分子

水は、酸素1個と水素2個がくっついた小さな分子の集まりです。凍るとき、分子どうしは水素結合という結びつきで、決まった向きにつながります。

その積み重なりを上から見ると、六角形が並んだ格子になります。これは六方晶の氷(氷Ih)と呼ばれ、地球上の自然の雪と氷はすべてこの構造です。

まず六角形の柱ができ、その6つの角から枝が伸びます。角が6つだから、腕も6本。

雪の六角形は、水の分子の並び方がそのまま目に見える大きさになった姿です。

板になるか柱になるかは気温で決まる

格子は共通でも、育つ形は一つではありません。板になるか柱になるかは、結晶が育つときの気温で切り替わります。

マイナス2度あたりでは薄い板、マイナス6度あたりでは細い柱や針、マイナス15度あたりでは大きな薄い板と枝分かれした星形が育ちます。湿り気も効きます。

湿度が低いとゆっくり育って単純な形になり、湿度が高いと速く育って複雑に枝分かれします。同じ雲から降っても、通った高さが違えば形が変わるわけです。

人工の雪が解いた「天からの手紙」

この関係を突き止めたのは、日本の物理学者 中谷宇吉郎です。1936年3月12日、北海道帝国大学の低温実験室で、世界で初めて人工の雪の結晶を作ることに成功しました。

ウサギの毛の先端を核にして結晶を育てる方法です。気温と水蒸気の量を変えながら形を記録し、条件と形の対応を1枚の図にまとめました。

これが中谷ダイヤグラムです。逆に読めば、地上に落ちてきた結晶の形から、それが育った上空の気温と湿り気が分かります。

だから彼は「雪の結晶は、天から送られた手紙である」と書きました。

同じ結晶は二つとない?

小さくて単純な六角柱なら、よく似た結晶はいくらでも見つかります。二つとないと言えるのは、枝が細かく分かれた複雑な結晶のほうです。

小さな結晶1粒でも水の分子はおよそ10の18乗個あり、そのうち5000個に1個ほどは重水素を含む重い分子です。その配置まで一致する確率は、ゼロと区別がつきません。

整った六角形は、実はめずらしい

写真集に並ぶ左右対称の結晶は、雪の平均的な姿ではありません。雪の結晶を撮り続けているカリフォルニア工科大学のケネス・リブレクト氏は、実際に降る雪では不揃いな形の結晶が圧倒的に多いと述べています。

条件のよい日でも、対称性の整った一粒を見つけるまでに何時間も探すそうです。落ちる途中でほかの結晶とぶつかったり、暖かい層を通って表面が溶けたりするからです。

次に雪が降ったら、黒い布や手袋の上で受け止めて、虫めがねでのぞいてみてください。薄い板か、細い柱か、六本に分かれた枝か。

形が読めれば、その一粒が育った上空の気温まで見当がつきます。

← 記事一覧へ戻る