空はなぜ青い?光が散らばるしくみ
空が青いのは、太陽の光が空気の分子にぶつかり、青い光だけが空じゅうに散らばるからです。海の色が映っているわけではありません。
カギは「波長の短い光ほど強く散らばる」という性質にあります。この散らばり方はレイリー散乱と呼ばれます。
太陽の光は色の混ざりもの
白く見える太陽の光には、赤から紫までの色がすべて混ざっています。プリズムに通すと帯状に分かれるのは、色ごとに波の長さ、つまり波長が違うからです。
人の目に見える光の波長は、およそ400〜700ナノメートル。1ナノメートルは100万分の1ミリです。
虹を七色と数えるのは日本語の習慣で、実際の光は波長が連続的に変わっていきます。短い側の紫や青は、長い側の赤にくらべて波長がおよそ半分。この差が空の色を決めます。
波長が短い光ほど強く散らばる
大気に飛び込んだ光は、窒素や酸素の分子にぶつかって四方八方へはね返されます。このとき散らばる強さは、波長の4乗に反比例します。
波長が半分になれば散らばりは16倍。青い光(約450ナノメートル)は赤い光(約650ナノメートル)のおよそ4倍も散らばります。
空のあらゆる方向から青い光が降ってくるので、空は青く見えるのです。ちなみに雲が白いのは、雲をつくる水滴が光の波長よりずっと大きく、どの色もほぼ同じ強さで散らすからです。
それなら紫の空になるのでは
波長がいちばん短いのは紫です。4乗の法則だけで考えれば、空は紫に見えてもおかしくありません。
そうならない理由は3つあります。まず、太陽の光にもともと紫の成分が少ないこと。
次に、紫の一部が上層の大気に吸収されること。そして、人の目が紫より青に強く反応することです。
グリニッジ天文台の解説も、目の感度の差と、届く光に含まれる量の差を理由に挙げています。散らばった光そのものと、私たちが感じる色は別物なのです。
夕焼けが赤いのも同じしくみ
太陽が地平線に近づくと、光が大気を通り抜ける距離が長くなります。長い道のりのあいだに青い光は散らばりきってしまい、散らばりにくい赤い光だけが最後まで残って目に届きます。
国立天文台が編さんする理科年表の解説も、夕日が赤いのは大気を通る距離が長く、青い光がほとんどなくなるためだと説明しています。青い昼の空と赤い夕空は、同じ現象を違う角度から見たものです。
犯人が分子だと分かるまで半世紀
この青の説明は、一度まちがえられています。1869年、イギリスのジョン・ティンダルは、空気中に漂う細かい粒が青い光をよく散らすことを実験で示しました。
ただし彼は、空の青も空気中のちりや塩の粒によるものだと考えました。1871年、レイリー卿が波長の4乗に反比例する式を導き、ちりがなくても空気の分子だけで空は青くなると示します。
議論に決着をつけたのは、1911年のアインシュタインでした。なお「空が青いのは海の色が映っているから」という説明を見かけることがありますが、これは俗説です。
次に晴れた空を見上げたら、その青は空にあらかじめ塗られた色ではなく、いま届いたばかりの太陽の光が空気の分子に弾かれた跡だと思い出してみてください。夕焼けの赤は、その青が散り終わったあとに残ったものです。
参考にした資料