自然

世界一深いバイカル湖に、淡水の2割が眠っている?

2026年7月 · 読了3分
世界一深いバイカル湖に、淡水の2割が眠っている?

バイカル湖の最深部は1642メートル。世界のどの湖よりも深く、地表にある凍っていない淡水のおよそ2割が、この一つの湖に集まっています。

なぜこれほどの水がたまったのでしょうか。答えは、湖の底で今も広がり続けている大地の裂け目にあります。

最深部は1642メートル

バイカル湖はロシアのシベリア南部にあります。長さは636キロメートル、幅は最大で79キロメートル。

面積は約3万2000平方キロメートルで、ベルギー一国よりわずかに広い計算です。細長い三日月の形をした水面の下に、1642メートルの谷が沈んでいます。

しかも湖底はそこで終わりではありません。その下には厚さ約7キロメートルの堆積物が積もっていて、岩盤までは水面から8〜11キロメートル。

大陸にある裂け目としては、地球で最も深い場所です。

深さをつくったのは大地の裂け目

バイカル湖は、川がえぐった谷でも氷河が削った窪地でもありません。大陸の地殻が左右に引き裂かれてできた溝に、水がたまったものです。

この裂け目は今も年に数ミリメートルずつ広がっています。普通の湖は流れ込む土砂で埋まり、数千年から数万年で湿地や平地に変わります。

ところがバイカル湖は、埋まる速さよりも沈む速さが上回るため消えません。湖の年齢は2500万年から3000万年で、現存する世界最古の湖です。

淡水の約2割がここにある

湖にたくわえられた水は約2万3600立方キロメートル。北米の五大湖をすべて合わせた量よりも多い水が、一つの湖に入っています。

地表にある凍っていない淡水に占める割合は、資料によって20〜23パーセントとされます。流れ込む川は330本ほどありますが、流れ出る川はアンガラ川ただ1本です。

冬には30メートル先まで見える

バイカル湖は水の透明さでも知られています。冬の透明度は30〜40メートル、プランクトンが増える夏でも5〜8メートルあります。

この透明さを支えているのが、体長2ミリほどの小さな甲殻類エピシュラ・バイカレンシスです。この生き物が湖の水をこし取り、年に1000立方キロメートルもの水をきれいにしているとされます。

さらにバイカル湖は、深いところまで酸素が届いている珍しい湖でもあります。タンガニーカ湖や黒海のように底が無酸素にならないため、深い場所にも生き物がすんでいます。

淡水だけにすむ唯一のアザラシ

長い時間、外の世界から切り離されてきた結果、この湖には独自の生き物が育ちました。動物は約2500種、植物は約1000種が記録され、その多くがここにしかいない固有種です。

なかでも有名なのがバイカルアザラシ、現地名でネルパと呼ばれる動物です。一生を淡水だけで過ごすアザラシは、世界でこの種だけです。

こうした価値が認められ、バイカル湖は1996年にユネスコの世界自然遺産に登録されました。

湖面は1月ごろから5月ごろまで凍り、氷の厚さは1メートル前後に達します。地図でシベリアの南に細長い三日月を探してみてください。

その1本の線の下に、地球の淡水の2割が眠っています。

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