雑学

備える水はなぜ「1人1日3リットル」なのか

2026年7月公開 · 2026年10月更新 · 読了7分
備える水はなぜ「1人1日3リットル」なのか

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「1人1日3リットル」は、飲み水と調理に使う水を足した量です。農林水産省も大阪市水道局も、この数字を生きるために必要な飲料水の目安として紹介しています。食器を洗う水やトイレを流す水は、この3リットルに入っていません。

首相官邸は、まず3日分、大規模な災害に備えるなら1週間分の備蓄を目安に挙げています。この記事では、3リットルの中身と家族の人数ごとの量を整理し、汲み置きや給水所での水の受け取り方まで公的機関の説明をたどります。

3リットルは「飲む水+調理の水」

農林水産省の家庭備蓄ポータルは、飲料用と調理用だけで1人あたり1日3リットルの水が必要と言われている、と説明しています。大阪市水道局も、人が生命を維持するために必要な飲料水の量を1人1日3リットルとしています。

3リットルを全部飲むわけではありません。お湯を沸かす、乾燥した非常食を戻す。こうした調理の水も含めた数字です。首相官邸は3日分の非常食の例として、アルファ米などのご飯・缶詰・乾パンを挙げています。アルファ米は水やお湯で戻して食べるので、調理の水が欠かせません。新宿区は、人が1日に必要とする飲料水の量は成人で2〜2.5リットルといわれ、余裕をみて3リットルを目安にしていると説明しています。

東京都水道局の災害時給水ステーションでも、成人が1日に必要な量として3リットルを目安に配る、と新宿区は案内しています。家での備えと、災害時に配る量が、同じ物差しで考えられているわけです。

何日分を、何本そろえるか

首相官邸は、飲料水は3日分(1人1日3リットルが目安)とし、大規模災害の発生時には1週間分の備蓄が望ましいとしています。大阪市水道局は、災害時には応急給水車などで水を配るものの、道路の寸断や悪天候で到着が遅れることがあると説明しています。まずは家にある水で数日をしのぐ、という考え方です。人数ごとに計算すると、次のようになります。

家族の人数ごとの飲料水の目安(1人1日3リットルで計算。本数は2リットルのペットボトル換算で、端数は切り上げ)
人数3日分1週間分
1人9リットル(5本)21リットル(11本)
2人18リットル(9本)42リットル(21本)
3人27リットル(14本)63リットル(32本)
4人36リットル(18本)84リットル(42本)

4人家族の1週間分は84リットルで、重さにすると約84キロです。一度に買うと運ぶのも置くのも大変な量です。農林水産省は、職員の実践例として、買い物のついでに2リットルのボトルを1本ずつ買い足す方法を紹介しています。5回買えば、1人分の最低量の9リットルを超えます。

置き場所も1か所にまとめる必要はありません。同じ例では、キッチンだけでなくリビングや脱衣所にも分けて置き、2階建て以上なら1階と2階に分けてリスクを分散しています。

よくある誤解:3リットルだけでは暮らせない

3リットルを用意すれば、断水しても生活できる。こう考えがちですが、この数字は飲む水と調理の水だけです。農林水産省は、食器などを洗う水は別途必要だと書き添えています。

首相官邸も、飲料水とは別に、トイレを流したりするための生活用水が要るとしています。備えの例として挙げているのは、水道水を入れたポリタンクを用意しておくこと、お風呂の水をいつも張っておくことです。

ただし、地震のあとは排水管が壊れている場合があります。首相官邸の備蓄品のリストには、携帯トイレや簡易トイレも入っています。飲み水を十分に買いそろえても、断水したときに先に困るのは、むしろ生活用水のほうです。

家で汲む水、給水所でもらう水

水道水も、汲み置きすれば備えになります。東京都水道局の案内は次のとおりです。

大阪市水道局も、水道水中の消毒用の塩素が消えると細菌が増える恐れがあるとして、3日程度での入れ替えを呼びかけています。大阪市水道局の手順では、よく洗った容器に蛇口から直接水を入れ、空気が残らないよう満タンにします。置く場所は、日の当たらない冷暗所です。

断水が長引けば、給水所で水を受け取ることになります。東京都水道局は、住まいからおおむね半径2キロ以内に1か所を基準に、都内に200か所以上の災害時給水ステーション(給水拠点)を整備しています。新宿区の計算では、区内の淀橋給水所の2万4000立方メートルは、1人3リットルで800万人の1日分にあたります。

見落としやすいのは、水を入れる器です。新宿区は、給水を受ける際は清潔な容器(給水袋など)を用意するよう案内しています。大阪市水道局も、応急給水の拠点には水を運ぶ容器がなく、水道局の備品も数に限りがあると書いています。

運ぶ手間も小さくありません。大阪市水道局は、1人3日分の9リットルは9キロになると注意し、住まいに合わせて台車やリュックなど水を運ぶ道具も挙げています。行列に並び、重い水を自宅まで持ち帰るのは大変な労力だという説明です。

備えに使える道具

買い置き用の水と、給水所で水を受け取る容器を1点ずつ選びました。価格は2026年10月時点の楽天市場の表示です。

保存水:アイリスオーヤマ アイリスの保存水 2L×6本 約1,380円。アイリスフーズのナチュラルミネラルウォーターで、商品ページの表示では製造から5年保存できます。6本で12リットル、1人分の3日分(9リットル)を少し上回る量です。
向いている人:買い替えの回数を減らしたい人。向かない人:普段から水を飲み回して入れ替える人は、いつものペットボトルで足ります。

給水タンク:アイリスオーヤマ 給水タンク 10L(WAT-10L) 約1,000円。折りたためるポリエチレン製のタンクで、注ぎ口のコック付きです。重さは約190グラム、たたむと高さ約9センチになります。
向いている人:給水所で水を受け取る容器を用意しておきたい人。注意:熱湯は入れられません(耐熱温度80℃)。満水では約10キロになるので、運ぶ距離を考えて量を決めます。

よくある疑問

普通のミネラルウォーターでも備蓄になりますか?
なります。農林水産省は、市販のペットボトル入りの水やウォーターサーバーの水で備蓄してよく、一工夫すれば水道水でも問題ないとしています。こまめに買い替えるのが面倒なら、長期保存できる水で備える方法も挙げています。保存できる期間は商品ごとに違うので、表示で確かめます。
3日を過ぎた汲み置きの水は、捨てるのですか?
飲み水として使わず、生活用水に回せます。東京都水道局は、くみ替えた水を掃除や洗濯などに使うよう案内しています。断水したときにトイレを流す水としても、飲み水とは別の量が要ります。

まとめ

1人1日3リットルは、飲み水と調理の水を足した量でした。3日分なら1人9リットル、1週間分なら21リットル。4人家族の1週間分は84リットル、2リットルのボトルで42本になります。

この3リットルとは別に、食器を洗う水やトイレを流す水が要ります。水道水の汲み置きは3日程度が目安で、古くなった水は生活用水に回せます。断水が長引けば給水所で水を受け取ることになり、新宿区は最寄りの災害時給水ステーションの場所を確かめておくよう呼びかけています。

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