子どもの名前はリストから選ぶ?デンマークの命名ルール
デンマークでは、子どもの名前を国が公開しているリストから選びます。承認済みのファーストネームは4万件以上。
リストにない名前を使いたいときは申請して審査を受け、通れば正式にリストへ加えられます。名前を「決めさせない」制度ではなく、認められた名前を全員で共有する制度です。
生後6か月までに名前を届け出る
デンマークの家族法庁(Familieretshuset)は、すべての子どもが生まれてから6か月以内にファーストネームと姓を持たなければならないと定めています。届け出るのは親権を持つ人です。
ファーストネームはいくつ付けても構わず、数に原則の制限はありません。一方で姓は1つだけと決まっています。
名前の「数」は自由なのに、名前の「種類」は管理されている。この組み合わせがデンマークの制度の特徴です。
名前は公開リストから選ぶ
家族法庁は承認済みファーストネームの一覧をウェブで公開しています。デンマークの英語ニュースサイトThe Localが2022年に伝えた集計では、男子名2万618件、女子名2万5316件、男女どちらでも使える名前1284件。この中から選ぶかぎり、審査は必要ありません。
リストにない名前は申請できる
ここが誤解されやすい点です。リストは決して閉じていません。
使いたい名前が載っていない場合は、申請の際にその名前を望む理由や自分とのつながりを説明します。審査を通れば名前は承認され、リストに追加されます。
つまり誰かが一度認めさせた名前は、それ以降は誰でも自由に使えるようになります。家族法庁自身も、名前のリストは継続的に更新されると明記しています。
固定された名簿ではなく、少しずつ増えていく共有財産のような存在なのです。
審査で見られる3つの点
家族法庁が確かめるのは、主に次の3点です。実際にファーストネームとして使われている名前かどうか。
デンマークで名前として用いるのに不向きでないかどうか。そして、不適切だったり人を不快にさせたりしないかどうか。
デンマーク語で発音できることも条件で、1文字だけの名前や子音だけの名前は通常認められません。文章のような形の名前や、デンマーク語以外の文字体系で書かれた名前も対象外です。
家族法庁は不適切な名前の例として、Anus、Føj、Puh の3つを挙げています。
性別と結びついた決まりも残る
ファーストネームは子どもの性別に合っていることが求められ、男の子に女の子の名前を、女の子に男の子の名前を付けることはできません。ただし先ほどの1284件のように、男女どちらにも承認されている名前もあります。
そこから選べば、性別の制限は関係なくなります。制度全体を貫いているのは「名前が子ども本人の不利益になってはいけない」という一点です。
名づけの自由度は、国によってここまで違います。デンマーク出身の人の名前を見かけたら、その一語が公的なリストに載るまでに誰かの申請と審査があったのかもしれない、と想像してみてください。
参考にした資料