子供の名前は当局に届け出る、スウェーデンの名づけのルール
スウェーデンでは、子どもの名前は親が決めれば終わりではありません。生後3か月以内に税務庁へ届け出て、登録してもらう必要があります。
届け出た名前が認められないこともあります。実際に、43文字の名前が裁判で却下された記録が残っています。
期限は生後3か月
スウェーデンの子どもは、少なくとも1つのファーストネームと1つの姓を持つ決まりです。親は生後3か月以内に、税務庁(Skatteverket)へ名前の登録を申請します。
根拠になっているのは、2017年7月1日に施行された人名法(2016:1013)です。それ以前は1982年の法律が使われていました。
姓についても同じ3か月の期限があり、親が選んで申請します。
認められない名前の3条件
法律はファーストネームを認めない条件を3つ挙げています。人に不快感を与えるおそれがあるもの、名乗る本人が困ると考えられるもの、そしてほかの理由で名前としてふさわしくないものです。
裏返せば、この3つに当てはまらなければ珍しい名前でも登録されます。実際、2005年には「Google」がミドルネームとして認められています。
43文字の名前が却下された事件
1991年に生まれた男の子の両親は、期限が来ても名前を届け出ませんでした。届け出のないまま子が5歳になり、地方裁判所は5000クローナの罰金を科します。
両親が1996年に提出したのが、43文字の「Brfxxccxxmnpcccclllmmnprxvclmnckssqlbb11116」でした。読み方は「アルビン」だと主張し、名づけの規制への抗議だと説明しています。
裁判所はこの名前を認めませんでした。両親はその後、同じく「アルビン」と読ませる一文字の「A」も届け出ましたが、これも通りませんでした。
当時は一文字の名前が認められていなかったためです。
却下されても終わりではない
税務庁が断っても、そこで決まりではありません。判断には行政裁判所へ不服を申し立てられます。
実際にひっくり返った例があります。一文字の「Q」は下級審で退けられたあと、2009年に最高行政裁判所が登録を認めました。
侮辱にあたるとも、本人が不快になるとも示されていない、という理由です。バンド名と同じ「Metallica」も、2007年にいったん退けられてから裁判を経て認められました。
一方で「Lucifer」は2020年に、「Pilzner」は2017年に却下されています。
なぜ税務庁が名前を扱うのか
スウェーデンでは、住民登録(人口登録)を税務庁が担当しているからです。出生の登録も名前の登録も、同じ役所で完結します。
名前は親が子に贈るものであると同時に、本人が一生名乗り、社会の側が個人を見分けるために使う情報でもあります。だから法律は「本人が困らないか」を審査の基準に置き、第三者の目を一度通す仕組みにしています。
日本にも出生届を14日以内に出す期限があります。名づけに期限を設ける国は、珍しくありません。
名づけは、自由と手続きのあいだにあります。スウェーデンの場合、期限内に申請書を出し、3つの条件に触れなければ登録されます。
海外で子どもが生まれる予定があるなら、その国の名前のルールを先に確認しておくと安心です。
参考にした資料