縁起の悪い数字は国によって入れかわるという話
数字の縁起は世界共通ではありません。日本で避けられるのは四と九、西洋では13、イタリアでは17です。
しかも13を不吉とする考えは意外に新しく、由来としてよく語られる説には裏づけがありません。数字そのものではなく、その土地の言葉と歴史が「不吉」を決めています。
四と九を避けるのは日本だけではない
日本で四と九が避けられるのは、音が「死」と「苦」に通じるからです。連想は一けたにとどまりません。
42は「死に」、49は「死苦」と読めるため、病院の病室番号や集合住宅の部屋番号から外されることがあります。自動車のナンバープレートでも「42」は通常は交付されません。
理由が意味ではなく音にある点が、この習慣の特徴です。
四を嫌う文化は日本に限りません。北京語・広東語・日本語のいずれでも、「死」と「四」の発音はほとんど同じです。
そのため中国語圏でも4は避けられ、建物の階数から外されます。西洋で13階を飛ばすのと、やっていることは同じです。
西洋の13に、確かな起源はない
「最後の晩餐に13人いたから」「テンプル騎士団が13日の金曜日に処刑されたから」。よく語られる説ですが、アメリカ議会図書館の民俗学者スティーブン・ウィニックは、専門家にもそれが事実かどうか分からないと述べています。
民俗学の研究者モイラ・マーシュによれば、13を不吉とする考えが記録に現れるのは17世紀ごろ。それ以前はむしろ、最後の晩餐にちなんだ良い数とみなされていました。
13の不吉さは、由来が後から語り足されてきた俗説です。
イタリアで嫌われるのは13ではなく17
イタリアでは13は不吉な数ではありません。避けられるのは17です。
ローマ数字のXVIIを並べかえるとVIXI、ラテン語で「私は生きた」、つまり「もう死んでいる」と読めるからだと説明されます。同じヨーロッパのなかでも、嫌われる数は入れかわります。
イタリアでは階数や部屋番号から17が飛ばされます。
「4」への恐れは統計に現れたのか
2001年、カリフォルニア大学サンディエゴ校のフィリップスらが、1973年から1998年までのアメリカの死亡票を調べました。中国系・日系アメリカ人およそ21万人では、慢性心疾患による死亡が毎月4日に13%増え、カリフォルニア州に限ると27%増えていました。
白人約4,700万人には同じ偏りがありません。研究チームは、心理的ストレスが死期に影響する例だと報告しました。
ただし、この結果で決着がついたわけではありません。翌2002年、医療統計の研究者ロバート・ニューカムが反論を寄せています。
1か月28日分を並べて比べれば、そのなかで最大の差が出る日は必ずあり、補正すると4日の差は特別に珍しいとは言えない、という指摘です。恐れが体に影響するかどうかは、いまも議論の途中にあります。
数字そのものに力はありません。「四」が「死」に聞こえる言語でだけ四は不吉になり、XVIIをVIXIと読める文化でだけ17が避けられます。
旅先のエレベーターで欠けている階を見つけたら、その土地が何を怖がってきたかの手がかりです。
参考にした資料