自然

世界一のエベレストが今も高くなり続けている理由

2026年7月 · 読了2分
世界一のエベレストが今も高くなり続けている理由

エベレストの標高は8848.86メートル。2020年12月8日に、ネパールと中国が共同で発表した数字です。

そしてこの山は、今も1年に数ミリずつ高くなり続けています。押し上げているのは、地下のプレートと、意外にも近くを流れる1本の川です。

8848.86メートルに決まるまで

エベレストの高さは、長いあいだ国によって数字が違いました。ネパールは1954年から8848メートルを使い、中国は2005年に8844.43メートルと発表しています。

差が生まれた理由は、頂上に積もった雪と氷を高さに含めるかどうかでした。中国は雪の下にある岩の頭を測り、ネパールは雪の表面まで測っていたのです。

2020年12月8日、両国は雪を含めた8848.86メートルで合意し、世界で使われる数字が1つになりました。

人が頂上に立って測った数字

この8848.86メートルは、遠くから望遠鏡で見ただけの値ではありません。ネパールの測量隊は2019年5月22日に登頂し、衛星測位(GNSS)の機器と、雪の厚さを調べる地中レーダーを頂上に据えました。

中国の測量隊も2020年5月27日に登頂し、独自の測位衛星「北斗」を使って観測しています。精度は数センチ単位とされています。

山を押し上げるプレート

山が伸びる一番の理由は、インドプレートがユーラシアプレートに衝突し続けていることです。米国地質調査所(USGS)によると、エベレストは1年に約4センチ北東へ動き、約3ミリ高くなっています。ヒマラヤはまだ成長の途中にあるのです。

川が山を持ち上げている

2024年、もう1つの原因が報告されました。エベレストは2位のK2より約250メートルも高く、3位以下の山どうしの差(約120メートル)と比べて不自然に飛び抜けています。

ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジなどの研究チームは、その理由を東側を流れるアルン川に求めました。約8万9000年前、アルン川はコシ川の水系とつながり、岩を削る力が一気に強まります。

大量の岩が運び去られて地面が軽くなると、地殻はゆっくり浮き上がります。この働きでエベレストは15〜50メートル高くなり、今も年に最大2ミリの押し上げが続いていると推定されています。

ただし上昇の速さは測り方によって差があり、研究ごとに数値は一致していません。

2015年の地震で縮んだのか

2015年のネパール地震(マグニチュード7.8)のあと、エベレストが低くなったという話が広まりました。USGSはこれを否定しています。

山全体が南西へ約3センチずれたものの、標高は変わらなかったという結論です。2005年に頂上へ設置された衛星測位の受信機が、その動きを記録していました。

エベレストは完成した山ではありません。プレートに押され、川に削られながら、今日も数ミリ単位で姿を変えています。

次に写真を見るときは、8848.86メートルという数字が「今のところの値」でしかないことを思い出してみてください。

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