自然

木の葉はなぜ緑?葉緑素のしくみ

2026年7月 · 読了3分
木の葉はなぜ緑?葉緑素のしくみ

葉が緑に見えるのは、葉緑素が赤と青の光をよく吸収し、緑の光をほとんど吸わないからです。使われなかった緑の光が葉の中で散らばり、外に出て目に届きます。

つまり緑は、葉が「使わなかった色」です。ではなぜ緑だけ使わないのか、そして秋になぜ色が変わるのかを見ていきます。

葉緑素がある場所

葉緑素は、葉の細胞にある葉緑体という小さな器官に詰まっています。もっと細かく見ると、葉緑体の中のチラコイドという膜に埋め込まれた形で並んでいます。

役目は太陽の光を受け取ってエネルギーに変えること。植物はそのエネルギーで、水と二酸化炭素から糖を作ります。

これが光合成です。葉緑素の分子は、中心にマグネシウム原子を1個抱えた構造をしています。

マグネシウムが生き物の体の中から見つかったのは、1906年のこの発見が最初でした。名前が付いたのはもっと前の1817年で、フランスの化学者ペルティエとカヴァントゥが葉から緑の色素を取り出し、ギリシャ語の「緑」と「葉」を組み合わせて名づけました。

吸う色と、吸わない色

葉緑素にはaとbの2種類があり、吸収しやすい光の波長が決まっています。クロロフィルaは約430ナノメートルと約662ナノメートル、bは約453ナノメートルと約642ナノメートルの付近をよく吸収します。

前者が青、後者が赤の領域です。その間にある500〜600ナノメートルあたり、つまり緑の光は、ほとんど吸収されません。この吸収の谷が、葉の色を決めています。

「はね返す」より「漏れ出る」

よく「葉緑素が緑をはね返す」と説明されますが、鏡のように反射しているわけではありません。吸収されなかった緑の光は葉の中を進み、細胞壁などの構造にぶつかって散らばり、その一部が葉の表から出てきます。この漏れ出た光が目に届いて、葉は緑に見えます。

秋、緑が抜けると黄色が現れる

日が短くなり気温が下がると、葉は役目を終える準備に入ります。葉緑素が分解されて減っていくと、それまで緑に隠れていたカロテノイドという黄色の色素が見えるようになります。

イチョウの黄葉はこれです。カロテノイドは秋に作られるのではなく、夏の間も葉の中にありました。緑が濃すぎて見えなかっただけです。

カエデの赤は秋に作られる

同じ紅葉でも、赤は成り立ちが違います。森林総合研究所の解説によれば、葉の付け根に離層という仕切りができ、葉にたまった糖を材料にアントシアンという赤い色素が新しく作られます。

合成には光が必要で、日本植物生理学会の解説では、晴れた日の強い日ざしと凍らない程度の低温が重なると赤みが進むとされています。同じ木でも日の当たる側から先に色づくのはそのためです。

なぜわざわざ作るのかは、まだ決着していません。弱った葉を強すぎる光から守るためという説と、虫に「この葉はまずい」と伝える信号だという説があります。

緑も黄も赤も、葉が光とどう付き合ってきたかの記録です。今年の秋は、同じ木の日なた側と日陰側を見比べてみてください。

色づきの差が、そのまま日当たりの差になっているはずです。

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