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ご飯をよく噛むとなぜ甘くなる?唾液のはたらき

2026年7月 · 読了3分
ご飯をよく噛むとなぜ甘くなる?唾液のはたらき

ご飯を噛むほど甘くなるのは、唾液に含まれるアミラーゼという酵素が、でんぷんを麦芽糖という甘い糖に切り分けているからです。砂糖は加えていません。

甘みは、噛んでいる最中の口の中で作られています。ただし、どのくらい甘く感じるかには大きな個人差があります。

ご飯の主成分は「甘くない糖」

ご飯の主成分はでんぷんです。でんぷんは、ブドウ糖という甘い粒が何百、何千とつながった長い鎖でできています。

ところが舌にある甘味のセンサーは、ブドウ糖や麦芽糖のような小さな糖にしか反応しません。鎖のままのでんぷんは大きすぎて、センサーが受け止められないのです。

炊きたてのご飯を一口食べただけでは甘く感じないのは、そのためです。同じことは、パンやじゃがいもでも起こります。

唾液の酵素が鎖を切っていく

唾液には、アミラーゼというでんぷんの鎖を切る酵素が含まれています。噛むほどご飯と唾液が混ざり、長い鎖が短く切られて、麦芽糖やマルトトリオースという小さな糖に変わります。

噛むうちに広がるあの甘みは、口の中で作られたばかりの糖の味です。

この酵素が見つかったのは1831年です。エルハルト・フリードリヒ・ロイクスが、唾液にでんぷんを分解する成分があることを突き止め、プチアリンと名づけました。酵素という考え方そのものが定まる前の発見でした。

甘くなるまでに1分以上かかる

甘みが出るまでには時間がかかります。でんぷん入りのガムを噛んでもらった研究では、2分ほど噛み続けたところで、口の中の麦芽糖の濃度が「甘いと感じ始める境目」を超えました。

数回噛んで飲み込むだけでは、酵素が仕事をする時間が足りません。ご飯で試すなら、ひと口を30回以上、時間にして1分以上は噛んでみてください。変化は途中から急にやってきます。

甘みを感じにくい人もいる

同じように噛んでも、全員が同じ甘さを感じるわけではありません。先ほどの研究では、でんぷんの甘みをはっきり感じ取れた人の口の中の麦芽糖は平均51.5ミリモル毎リットル、まったく感じ取れなかった人は平均30.0ミリモル毎リットルでした。

差を生むのは、唾液に含まれるアミラーゼの量とはたらきの強さです。アミラーゼの設計図であるAMY1という遺伝子は、持っているコピーの数が人によって違います。

狩猟採集を続けてきた集団では2〜3個、日本人やヨーロッパの人では6個前後という報告があります。でんぷんをよく食べてきた集団ほど、コピー数が多い傾向にあるのです。

消化は口で始まり、胃で止まる

アミラーゼが力を発揮できるのは、pH6.7から7.0という中性に近い環境です。口の中はちょうどこの範囲に収まります。

ところが飲み込んで胃に届くと、pH0.8から3.5の強い酸に出会い、アミラーゼははたらきを止めます。でんぷんの分解が本格的に進むのは、その先の小腸で、膵臓から出るアミラーゼと合流してからです。

口の中で終わる消化はごく一部で、よく噛むことは本番前の下ごしらえにあたります。

今日のご飯で、何回目から甘くなるか数えてみてください。隣の人と回数が違っても、どちらも正常です。

その差は、生まれ持ったアミラーゼのはたらきの違いを映しています。

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