人類が掘った金は、全部でプール数杯分しかない
人類がこれまでに掘り出した金は、およそ21万9890トンです。重さだけ聞くと膨大ですが、すべて溶かして1つの塊にすると、一辺22メートルほどの立方体にしかなりません。
プールに換算すれば、たった数杯分です。数千年ものあいだ金が高い値打ちを保ってきた理由は、この少なさにあります。
全部集めても一辺22メートル
金の統計をまとめているワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると、有史以来採掘された金は約21万9890トンです。これを1つの塊にしても、一辺およそ22メートルの立方体にしかなりません。
体積にすると約1万1400立方メートル。縦50メートル・横25メートル・深さ2メートルのプールなら、4杯半ほどです。
7階建てのビルくらいの高さの箱に、世界中の金がすべて収まる計算になります。
少なく見えるのは、金が重いから
金は1立方センチメートルあたり19.3グラムという、とても密度の高い金属です。鉄のおよそ2.5倍、水の19倍以上の重さがあります。
500ミリリットルのペットボトルに金を詰めれば、それだけで約9.7キログラムになります。だから1トンの金でも、一辺37センチほどの箱に収まってしまうのです。
「21万トン」という重さと「プール数杯分」という見た目が食い違って感じられるのは、量が少ないからではなく、同じ重さでも金が場所を取らないからです。
掘った金は、ほとんど失われていない
金はさびず、腐らず、何度溶かしても性質が変わりません。だから古代に掘り出された金の多くが、指輪や延べ棒へと形を変えながら、今も世界のどこかに残っています。
WGCによると、地上にある金の内訳は宝飾品が45パーセント、地金・コインやETFが22パーセント、中央銀行の保有が17パーセント、その他が15パーセントです(端数処理のため合計は100になりません)。採掘量の約3分の2は1950年以降に掘られたもので、量の大半はここ70年余りで積み上がりました。
残りの「その他」には、産業用の金が含まれます。米国地質調査所(USGS)は、金が電気をよく通し、さびにくいことから、コンピューターや通信機器、宇宙船、ジェット機のエンジンにも使われていると説明しています。
装身具としてだけでなく、機械の内部にも細かく分散しているわけです。
地下に残っている分も多くない
WGCは、採算が取れると確認された埋蔵量を約5万4770トン(2024年末)としています。一方、2024年に鉱山から掘り出された金は3661トン。
単純に割れば15年ほどで尽きる量です。ただし、どこまで採算が取れるかは金価格や採掘技術で変わるため、埋蔵量の数字も年ごとに動きます。
同じ2024年の総供給量4974トンのうち、1370トンはリサイクルによるものでした。掘る量より、使い回す量が着実に増えています。
金は地球で生まれた元素ではない
そもそも金は、地球上でつくることができません。米国エネルギー省(DOE)の解説によれば、金や白金、ウランのような重い元素は、中性子星どうしの衝突や超新星爆発といった、中性子が大量に飛び交う激しい現象の中で生まれます。
地球にある金は、太陽系ができる前の宇宙でつくられた材料が、そのまま集まったものです。掘れば減る一方で、地球には金を増やす手立てがありません。希少さは値段の話である前に、宇宙の事情なのです。
金価格のニュースを見かけたら、その数字の裏に「プール4杯半」という量があることを思い出してみてください。値打ちの正体が、ぐっと身近に見えてきます。
参考にした資料