世界最大のビール祭り?ドイツのオクトーバーフェスト
オクトーバーフェストは、ドイツのミュンヘンで毎年開かれる世界最大級のビール祭りです。名前は「10月の祭り」という意味ですが、実際に始まるのは9月の半ばで、10月の最初の日曜日に幕を閉じます。
始まりは1810年、バイエルンの王太子の結婚を祝う催しでした。2025年は16日間でおよそ650万人が訪れています。
始まりは1810年の結婚式
1810年10月12日、バイエルンの王太子ルートヴィヒが、ザクセン=ヒルトブルクハウゼンの公女テレーゼと結婚しました。祝宴は5日間続きます。
その締めくくりとして10月17日、市の門の外に広がる草原で競馬が開かれ、ミュンヘンの市民が招かれました。この草原は花嫁の名にちなんで「テレージエンヴィーゼ(テレーゼの草原)」と呼ばれるようになります。
今も会場はここで、地元の人は短く「ヴィーゼン」と呼びます。
なぜ9月に始まるのか
10月のミュンヘンは雨が多く、夜は冷え込みます。1828年にはもう、天気への不満が記録に残っています。
日が暮れるのも早いため、開催日は少しずつ前倒しされ、1905年ごろには9月の終わりに始まる形が定着しました。名前だけが最初の10月のまま残ったわけです。
会期は16日間が基本で、ドイツ統一の日である10月3日の位置によっては17日や18日になる年もあります。
ビールを出せるのは6社だけ
会場でビールを売れるのは、アウグスティナー、ハッカー・プショア、レーヴェンブロイ、パウラナー、シュパーテン、ホフブロイの6社だけです。製造の全工程をミュンヘン市内で行い、水も市内の地下水を使うことが条件になっています。
原料は1516年のビール純粋令どおり、水と麦芽とホップと酵母のみ。麦汁の濃さは13.6パーセント以上と決められ、アルコール分は5.3から6.6パーセントと普段のビールより少し強めです。
夏の前に仕込む「メルツェン」という濃いラガーの流れをくむ味わいで、2022年10月からはEUの地理的表示保護の対象になりました。
正午の合図「オ・ツァプフト・イス」
初日の正午、市長がショッテンハーメルというテントで最初の樽に栓を打ち込みます。そして「オ・ツァプフト・イス(栓が開いたぞ)」と告げます。
この合図が出るまで、会場では1杯もビールが出せません。ジョッキは1リットル入りの「マス」で、2025年は約650万マスが飲まれました。前年の2024年は約700万マスでした。
中止になった年もある
200年を超える歴史の中で、この祭りは何度も中止されています。最初の中止は1813年、ナポレオン戦争のさなかでした。
1854年と1873年はコレラの流行、1914年から1918年と1939年から1945年は二度の世界大戦が理由です。第一次大戦後の激しいインフレで、1923年と1924年も開けていません。
近年では2020年と2021年が新型コロナで中止となり、2022年に再開しました。
9月のミュンヘンは、まだ日が長く風も暖かい季節です。行くなら初日の正午、市長が樽に栓を打つ瞬間に合わせて会場へ向かってください。
この祭りがどう始まるのかが、いちばんよく分かります。
参考にした資料