水面が空を映す天空の鏡、ウユニ塩湖のふしぎ
南アメリカのボリビアにあるウユニ塩湖は、雨季になると水面が空をそのまま映し、天空の鏡と呼ばれます。これは偶然の景色ではありません。
ここが世界でもっとも平らな場所のひとつだから起きる現象です。広さは岐阜県とほぼ同じなのに、高低差は1メートルもありません。
岐阜県とほぼ同じ広さ
ウユニ塩湖があるのは、ボリビア西部のアルティプラーノ高原です。標高はおよそ3656メートル。
富士山の山頂より少しだけ低い高さです。面積は約1万582平方キロメートルで、岐阜県の約1万621平方キロメートルとほとんど変わりません。
塩の平原としては世界最大です。白い地表をつくっているのは、食塩と同じ成分の岩塩(ハライト)と石こうで、塩の層は厚いところで数メートルに達します。
乾季の地表には、六角形をつないだような模様が一面に浮かびます。塩の層が乾いて縮み、割れ目が走るためにできる模様です。
なぜ鏡になるのか
雨季にあたる12月から4月にかけて、塩の大地に雨水が薄く広がります。地面がほぼ完全に平らなので、水は深くたまらず、大きな波も立ちません。
動かない水面は、空をそのまま映し返します。これが天空の鏡の正体です。
鏡になる範囲は、最大で幅129キロメートルにもなります。
人工衛星の物差しになる
この平らさは、観測の世界でも役に立っています。ヨーロッパ宇宙機関(ESA)は、ウユニ塩湖の高低差が1メートル未満であることを挙げ、人工衛星に積んだレーダー高度計の校正に理想的だと説明しています。
極地の氷を測るクライオサットや、地表を観測するセンチネル3号がその例です。宇宙から測った高さが正しいかどうかを、この塩の大地で確かめているわけです。
もとは巨大な湖だった
これほどの塩は、どこから来たのでしょうか。かつてここには大きな湖がありました。
約3万〜4万2000年前に広がっていたミンチン湖、そのあとに現れたタウカ湖です。アルティプラーノは水の出口がない盆地で、流れこんだ水は海へ出られません。
乾いた気候のもとで水だけが蒸発し、溶けこんでいた塩が取り残されました。湖が消えたあとに残った塩の層が、今の白い大地です。
同じ湖からは、北どなりのコイパサ塩原やポオポ湖も生まれました。地表には当時の水際の跡が今も残っています。
塩の下に眠るリチウム
塩の層の下には、濃い塩水(かん水)がたまっています。この水にはリチウムが溶けており、ESAはウユニ塩湖のリチウム資源をおよそ900万トンと紹介しています。
リチウムはスマートフォンや電気自動車の電池に欠かせない金属です。衛星写真に写る四角い区画は、かん水を天日で蒸発させてリチウムを取り出すための池になります。
観光地であると同時に、世界有数の資源地帯でもあるのです。生き物の姿もあり、11月ごろになると3種のフラミンゴが繁殖のために集まってきます。
乾季は白一色の大地、雨季は空を映す鏡。同じ場所が季節でまったく別の顔になります。
写真や旅行の情報を探すときは、まず時期を確かめてください。鏡の景色に出会えるのは12月から4月の雨季だけです。
参考にした資料