自然

星はなぜ瞬く?またたきの正体

2026年7月 · 読了3分
星はなぜ瞬く?またたきの正体

星が瞬いて見えるのは、地球の大気が揺らいで星の光を曲げているからです。星そのものは、一定の明るさで輝き続けています。

この現象には「シンチレーション」という名前がついています。原因が空気にある証拠に、大気の外に出た宇宙望遠鏡では星は瞬きません。

瞬きの正体はシンチレーション

夜空でチカチカと変わる星の明るさを、天文学ではシンチレーションと呼びます。日本天文学会の天文学辞典によれば、その主な原因は、大気の密度が変化することで起きる光の屈折です。

星の光は何十光年、何百光年という距離を、一定の明るさのまま旅してきます。変化しているのは星ではなく、最後にくぐる地球の空気のほうです。

なお、明るさが揺れる現象をシンチレーション、光の届く向きがずれて像がぼやける現象をシーイングと呼び分けます。

空気のむらがレンズのように働く

空気は、場所によって温度も密度も違います。温度が違えば光の曲がりぐあい、つまり屈折率も違うので、大気は無数の小さなレンズが集まったような状態になっています

星の光がこのむらを通り抜けるたびに進む向きがわずかに変わり、目に届く光の量が増えたり減ったりします。しかも空気は風で流れているため、レンズの並びは1秒のあいだに何度も入れ替わります。

惑星があまり瞬かない理由

同じ夜空でも、金星や木星はほとんど瞬きません。恒星はどんなに大きな望遠鏡で見ても点にしか見えないほど遠く、光の通り道が事実上1本しかありません。

いっぽう惑星は地球に近く、望遠鏡では丸い面として見えます。面のあちこちから届いた光は、それぞれ別のむらを通ります。

だから明るくなる分と暗くなる分が打ち消し合うのです。NASAの解説も、惑星は大気のゆらぎより見かけが大きいため、複数のゆらぎを通った光がまざって平均化されると説明しています。

ハワイやチリの一流の観測地でも、ゆらぎによる像のにじみは0.5〜1秒角ほど。惑星の見かけの大きさは、これを軽く上回ります。

地平線に近い星ほど激しく瞬く

同じ星でも、瞬き方は空の高さで変わります。真上の星の光は大気を最短距離で通り抜けますが、地平線近くの星の光は空気の層を斜めに長く進みます。

通り抜けるむらの数が増えれば、それだけ光は揺さぶられます。名古屋市科学館の展示解説も、地平線近くでは大気を通る距離が長くなるため瞬きやすくなる、と説明しています。

低い空でひときわ激しくチカチカする光があれば、それは分厚い空気を通ってきた星です。

天文学者にとっては邪魔者

美しく見える瞬きも、観測する側にはやっかいな相手です。像が揺れてぼやけるため、望遠鏡をいくら大きくしても細かい構造が見えなくなります。

だから大型望遠鏡は空気の澄んだ高い山の上に建てられ、鏡をリアルタイムで変形させてゆらぎを打ち消す「補償光学」という技術も使われます。1990年に打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡は、大気の外へ出るという最も確実な方法を選びました。

今夜、空を見上げたら2つ試してみてください。ひとつは、真上の星と地平線近くの星で瞬き方を見比べること。

もうひとつは、まったく瞬かない明るい光を探すことです。それは星ではなく、惑星のはずです。

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