ホタルはなぜ光る?熱を出さない冷たい光
ホタルの光は、ほとんど熱を出しません。体の中でルシフェリンという物質が、ルシフェラーゼという酵素のはたらきで酸素と結びつくときに、そのエネルギーがほぼすべて光になるからです。
電球のように熱くなって光っているわけではありません。だから「冷たい光」と呼ばれます。
電球との違いは、むだの少なさ
アメリカ国立公園局の説明によると、昔ながらの白熱電球はエネルギーの約10パーセントしか光にならず、残りの約90パーセントは熱として逃げていきます。ホタルの発光はその逆で、ほぼ100パーセントが光になります。
光る場所はお尻にある発光器で、英語ではランタンと呼ばれます。ここに酸素が送りこまれると化学反応が起き、熱に変わる前に光として放たれるのです。
点滅は種類ごとの合図
ホタルは種類ごとに決まった点滅のパターンを持っています。オスとメスは、この光のリズムで同じ種類の相手かどうかを見分けています。
やみくもに光っているのではなく、名乗りと返事のやりとりなのです。
パターンが種類ごとに違うことには意味があります。同じ場所に何種類ものホタルがいても、リズムが違えば相手をまちがえずにすむからです。
光の点滅は、暗やみの中で使える名札のようなものといえます。
日本のゲンジボタルは東と西で光り方が違う
ゲンジボタルは、光る間隔が地域によって違います。東日本ではおよそ4秒間隔、西日本と九州ではおよそ2秒間隔です。
境目は、新潟から長野、静岡にまたがる中部山岳地域、いわゆるフォッサマグナ地帯にあります。2020年1月、鹿児島大学や佐賀大学などの研究グループが、この違いの背景に遺伝子レベルの差があることをゲノム解析で確かめ、科学誌サイエンティフィック・リポーツに発表しました。
同じ名前で呼ばれてきたホタルが、東と西で中身から違っていたのです。
息を合わせて光るホタルもいる
アメリカのグレート・スモーキー山脈国立公園には、集団でいっせいに光るホタルがいます。フォティヌス・カロリヌスという種類で、5回から8回続けて光ったあと、約8秒間まっ暗になり、また同じことをくり返します。
なぜ息を合わせるのか。国立公園局は、メスは十分な回数の点滅にしか応えないため、オスたちがそろって光るのではないかという説を紹介しています。
光るのは大人だけではない
卵も幼虫も光ります。長野県辰野町の説明では、ゲンジボタルの卵ははじめ黄色く、日がたつと黒くなり、刺激を与えると光るようになります。
1匹のメスが産む卵は500個から1000個で、直径は0.5ミリメートルほど。卵の期間は約1か月で、ふ化した幼虫はわずか1.5ミリメートルです。
幼虫は水中でカワニナという巻き貝を食べて育ち、4月下旬の雨の夜に陸へ上がります。さなぎの期間は約2週間。
そして成虫になってからの生存日数は、およそ10日しかありません。
次にホタルを見つけたら、光る間隔を数えてみてください。2秒に1回なら西日本型、4秒に1回なら東日本型です。
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