生き物

クマノミは全員オスで生まれてくるって知っていますか?

2026年7月 · 読了2分
クマノミは全員オスで生まれてくるって知っていますか?

クマノミは、群れの全員がまずオスとして育ちます。そして、その中で最も大きな1匹だけがメスへと変わります。

メスがいなくなれば、相手だったオスがメスになって後を継ぎます。性別が生まれつきではなく、群れの中の順位で決まる魚なのです。

オスから始まる一生

クマノミは成長すると、まずオスとして成熟します。この性質は「雄性先熟」と呼ばれます。

フロリダ自然史博物館は、すべての個体が先にオスへ育ち、その後でメスになる可能性があると説明しています。おもしろいのは体の中身です。

オスの時期の生殖腺には、はたらいている精巣と、未熟な卵のもとが同時に入っています。メスに変わるとき、精巣の側が失われて卵巣だけが残ります。

人間のように生まれる前から性別が決まっているわけではないのです。

順位が性別を決める

クマノミは体をおおう粘液のおかげでイソギンチャクの刺胞に刺されず、そこを住みかにできます。カクレクマノミなら体長は最大でも11センチほど、野生での寿命は6年から10年と考えられています。

この狭い住みかに、数匹のクマノミがまとまって暮らします。いちばん大きい1匹がメス、2番目がその相手のオス、残りは体の小さなオスたちです。

カリフォルニア大学バークレー校の解説によれば、卵を産み育てるのはこの大きな2匹だけで、下位の個体は成熟しません。メスは小さい個体に攻撃をしかけて順位を保ち、群れの中に2匹目のメスが生まれないようにしています。

メスがいなくなった後

群れのメスが死ぬと、相手だったオスがメスへと性転換します。同時に3番目の個体が急に体を大きくして、繁殖するオスの座に就きます。

順位が1つずつ繰り上がり、群れはそのまま存続します。

下位の個体がずっと小さいままなのは、栄養が足りないからではありません。上に大きな個体がいるあいだは成長が抑えられ、席が空いた瞬間に伸び始めます。順番待ちの列が1つ進むようなものです。

なぜ大きい個体がメスなのか

理由は卵の数にあります。魚のメスは体が大きいほど、一度に産める卵が増えます。

一方でオスは、体が小さくても卵を受精させるだけの精子を作れます。つまり群れでいちばん大きな1匹がメスになったほうが、残せる子の数は多くなります。

小さいうちはオス、大きくなったらメス。この順番が有利になるという説明が、性転換する魚の研究では広く受け入れられています。

発見は1977年

この仕組みを報告したのは、ハンス・フリッケとシモーネ・フリッケによる1977年の研究です。二人は科学誌「ネイチャー」に、クマノミが一夫一妻で暮らすこと、そして攻撃による順位づけが性転換を引き起こすことを発表しました。

それから約50年たった今も、体の中で何が引き金になって性転換が始まるのかは、細かいところまでは解明されていません。

クマノミの性別は、卵の中ではなくイソギンチャクの中の暮らしで決まります。次に水族館でクマノミの群れを見かけたら、いちばん大きな1匹を探してみてください。それが、その群れのメスです。

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