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液状化はなぜ起きるのか 地面が液体のようになる仕組み

2026年7月公開 · 2026年10月更新 · 読了7分
液状化はなぜ起きるのか 地面が液体のようになる仕組み

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液状化は、地面が溶ける現象ではありません。地下水に浸かった砂の粒が、強い揺れで支え合いをやめ、砂と水がまとめて液体のようにふるまう現象です。

起きやすい土地は、砂の締まり方と地下水の深さ、そして土地の成り立ちでかなり絞り込めます。この記事では仕組みを押さえたうえで、ペットボトルで再現する方法と、地図で自分の土地を調べる方法を紹介します。

砂粒が支え合いをやめる

砂の地盤は、砂の粒どうしが接して支え合うことで、上にある建物の重さを受け止めています。粒と粒のすきまは、地下水で満たされています。

ここに強い揺れが繰り返し加わると、粒の支え合いが崩れます。国土交通省の説明では、互いに接して支えあっていた土の粒子がバラバラになり、地盤全体がドロドロの液体のような状態になる現象です。砂が水の中に浮いたような状態です。

気象庁大阪管区気象台の解説によると、液状化は震度5弱以上の強い揺れを伴う大きな地震で起きる現象です。水が砂と一緒に地表へ噴き出す「噴砂」も起こります。地中の中身が抜け出るので、揺れが収まった後に地面の沈下や亀裂、陥没が残ります。

起きやすい地盤には条件がある

同じ解説によると、液状化しやすいのは深さ15〜20メートル以内にある締まりのゆるい砂の層で、地表近くまで水に浸かっているものです。砂の粒の大きさは直径1/8〜1/2ミリほどの細かい砂から中くらいの砂で、粒の大きさが揃っているほど起きやすくなります。

つまり条件は「ゆるい砂」「浅い地下水」「強い揺れ」の3つです。どれか1つでも欠ければ、液状化は起こりにくくなります。砂と地下水は土地に固定された条件なので、地震の前でも調べられます。

国土地理院は、液状化の被害を受けやすい代表的な地形として次のものを挙げています。

液状化の被害を受けやすい地形(国土地理院「土地条件図」の解説をもとに作成)
地形どんな場所か
盛土地・埋立地海や池、低い土地に土砂を入れて造った土地
旧河道かつて川が流れていた跡の土地
砂丘の縁辺部砂丘のふちで、低地と接するあたり
砂丘間低地・砂州間低地砂丘や砂州に挟まれた低い土地

埋立地だけの話ではない、という点が大事です。千葉県も、埋立地や河川沿いなど砂地盤で地下水位が高い場所で懸念される、と説明しています。旧河道は今では住宅地になっている所が多く、歩いても見分けがつきません。

ペットボトルで液状化を再現する

液状化は、500ミリリットルのペットボトルで再現できます。国土交通省四国地方整備局の高松港湾空港技術調査事務所が、子ども向けの手順を公開しています。用意するのは500ミリリットルのペットボトル1本と砂約100ミリリットル、紙コップ1個とマップピン3〜4個です。

  1. 砂をペットボトルに入れ、水を注ぐ。水が濁らなくなるまで、きれいな水に入れ替える
  2. マップピンを3〜4個入れ、ふたを閉める
  3. ボトルの上下をひっくり返しながら、中身をかき乱す
  4. 逆さまにして紙コップの上に置き、濁りが消えるまで待つ。ピンが砂に埋もれて見えないことを確かめる
  5. 紙コップの横を強めにつつく

つついた瞬間、砂に沈んでいたピンが浮き上がってきます。液状化のときにマンホールが地面から突き出す現象の再現です。浮いたピンをよく見ると、水には浮いていません。砂と水が一体になった泥水は水より重いので、水に沈む重さの物でも押し上げられます。つつく前と後で砂の表面の高さを比べると、地面が下がったことも分かります。

岩手県教育委員会の高校向け実習プリントには、別のやり方が載っています。砂の表面にボルトやナットを置いて揺らすと、重い金具は砂に沈み込みます。砂にBB弾を混ぜておくと、軽い弾は浮いてきます。重い建物は沈んで傾き、軽いマンホールは浮く。実際の被害と同じ組み合わせが、ボトルの中で起きます。

産業技術総合研究所の地質標本館も、一般公開でこの種の実験を行っています。そこで使われた「エキジョッカー」は、ペットボトルに砂を入れて水を満たした器具で、噴砂や地盤沈下を再現できると紹介されています。

マップピンは先が尖っているので、扱いに気をつけます。手順書では、ボトルの水は飲まないこと、1〜2か月に1度は水を替えることも注意点として挙げています。

地図で自分の土地を調べる

自分の家の下がどんな土地かは、国の公開している地図で調べられます。どれもインターネットで無料で見られます。

  1. 液状化の発生傾向図を見る:国土交通省の「地形区分に基づく液状化の発生傾向図」は、ハザードマップポータルサイト「重ねるハザードマップ」で見られます。全国を250メートル四方の区画に分け、地形から見た液状化の起きやすさを5段階で示した図です。
  2. 土地条件図で地形を見る:国土地理院のウェブ地図「地理院地図」では、土地条件図や地形分類の図を重ねて表示できます。家の場所が盛土地や旧河道に当たるかを確かめます。
  3. 昔の空中写真と見比べる:地理院地図では、1945〜1950年や1961〜1964年に撮られた空中写真も、今の地図と同じ位置で見られます。いまの住宅地が、昔は川や池、田んぼだったと分かる場合があります。
  4. 自治体の液状化マップを見る:都道府県や市区町村が、想定する地震ごとの液状化の危険度を公開している場合があります。

読み方には注意が要ります。国土交通省によると、発生傾向図は特定の地震を想定せずに地形だけで評価した図です。明確な境界線を示したものではない、とも書いています。埋立地など個別の人工の地盤は表しきれない場合があり、傾向が低い区画でも液状化が起きないとは限りません。1つの図で判断せず、複数の図を重ねて見るのが、この調べ方の要点です。

液状化が知られる契機になった地震

液状化が防災の課題として注目されたのは、1964年6月16日の新潟地震です。新潟県下越沖を震源とするマグニチュード7.5の地震で、新潟市では砂を含んだ泥水が噴き上がる液状化が広い範囲で起きました。

新潟県の災害デジタルアーカイブによると、信濃川沿いの川岸町では、4階建て鉄筋コンクリートのアパートが無傷のまま横倒しになりました。気象庁の解説では、このアパートは海岸から約1.5キロ内陸にあり、傾いた末に転倒しています。当時は液状化の知識も備えも無かったことが、大きな被害につながったとされています。

2011年の東日本大震災では、国土交通省のまとめで9都県、約27,000件の宅地が液状化の被害を受けました。その後の熊本地震や北海道胆振東部地震でも、同じような被害が出ています。建物そのものが丈夫でも、地盤が傾けば家は傾きます。液状化は建物の耐震性とは別の問題として扱われています。

地層の見分け方や、川や海が土地をどう造ってきたかは、写真の多い図鑑で追うと分かりやすい話です。地図で見つけた「旧河道」や「砂州」が実際にどんな地層なのかを知りたいなら、地層と地形の図鑑が手がかりになります。

よくある疑問

海から遠い内陸なら、液状化は起きませんか?
起きることがあります。国土地理院は旧河道を液状化の被害を受けやすい地形に挙げており、川沿いや昔の川の跡は内陸にもあります。新潟地震で倒れたアパートも、海岸から約1.5キロ内陸の信濃川沿いにありました。
一度液状化した土地は、もう液状化しませんか?
そうとは限りません。以前は、一度液状化すれば緩い砂が締め固まる方向に向かうと考えられていました。ところが国土交通省の「市街地液状化対策推進ガイダンス」によると、東日本大震災の後に地盤を調べた結果、将来の地震で再び液状化が起こる可能性のある地盤が残されていました。

まとめ

液状化は、地下水に浸かったゆるい砂の層が、震度5弱以上の強い揺れで支え合いを失う現象です。起きやすいのは深さ15〜20メートル以内の砂の層で、埋立地のほかに旧河道や砂丘のふちも当てはまります。

仕組みはペットボトル1本で確かめられ、土地の成り立ちは地理院地図や重ねるハザードマップで調べられます。まずは家の場所を地図で開き、昔の空中写真と見比べてみてください。

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