国が違えばお金も違う、為替という仕組みとは
為替とは、ある国のお金を別の国のお金に交換するときの比率のことです。1ドルが何円になるかは、誰かが決めているわけではありません。
世界中の売り買いのバランスで、平日はほぼ休みなく動き続けています。その数字がどこで、どうやって決まるのかを見ていきます。
為替相場は「交換の比率」
日本銀行は為替相場を、異なる通貨が交換されるときの交換比率と説明しています。1ドル150円なら、1ドルと150円が同じ値打ちとして扱われるということです。
これが140円になれば、少ない円でドルが買えるので円高。160円になれば円安です。
数字が大きくなるほど円の力は弱くなる、という向きに注意してください。
円安が進むと、輸入した小麦や燃料の値段は上がります。同じ量を買うのに、より多くの円が必要になるからです。
一方で、海外に商品を売る企業は受け取る円が増えます。為替の動きは、誰にとっても得というわけでも、損というわけでもありません。
値段を決めているのは誰か
変動相場制のもとでは、為替相場は市場参加者の需要と供給のバランスで決まります。ドルを買いたい人が売りたい人より多ければ、ドルは高くなります。
輸入企業の支払い、輸出企業の受け取り、海外への投資が、その売り買いを生みます。株式と違って取引所はなく、銀行同士が世界中で直接やり取りする仕組みです。
だから東京の取引が細っても、ロンドン、ニューヨークへと売買は移り、平日はほぼ24時間動き続けます。
1日9.6兆ドルという規模
国際決済銀行(BIS)が3年ごとに行う調査では、2025年4月の外国為替取引は1日あたり9.6兆ドルでした。2022年の7.5兆ドルから28パーセント増えています。
取引の89.2パーセントには米ドルが関わり、売買を扱う拠点は英国、米国、シンガポール、香港の4か所で全体の75パーセントを占めます。銀行や機関投資家のこうしたやり取りが積み重なって、1ドル何円という数字ができあがります。
1ドル360円で固定されていた時代
相場が動く今の仕組みは、意外に新しいものです。戦後の日本は、1ドル360円の固定相場から出発しました。
1971年に米国がドルと金の交換を止めたことで、この体制は崩れます。1ドル308円のスミソニアンレートを経て、1973年2月に完全な変動相場制へ移りました。
相場が毎日動くようになって、まだ50年あまりです。
ニュースの数字で両替できない理由
銀行や空港で両替すると、ニュースの数字より損に感じます。報道されるのは銀行同士が大口で取引するインターバンク相場で、私たちが使うのは対顧客相場だからです。
2つの相場は別物で、その差が両替の手数料にあたります。
為替は、旅行や買い物の値段の裏側で静かに働いています。ニュースで1ドル何円と聞いたら、その数字が世界中の売り買いの結果だと思い出してみてください。
海外へ出かける前に、どこで両替すると差が小さいかを比べておくと、それだけで手元に残るお金が変わります。
参考にした資料