雑学

硬貨の縁のギザギザ、その意外な理由とは

2026年7月 · 読了2分
硬貨の縁のギザギザ、その意外な理由とは

硬貨の縁のギザギザは、もともと金貨や銀貨の縁を削り取られるのを防ぐための仕掛けでした。造幣局はもうひとつ、「当時の最高額面の貨幣であることを示すため」という理由も挙げています。

そして現在のギザの目的は、そのどちらでもありません。500円玉を横から見ると、答えの一部が見つかります。

縁を削る犯罪を封じる仕掛け

金貨や銀貨は、素材の金属そのものに価値がありました。そこで、縁をやすりで少しずつ削り、削りくずを集めて溶かして売るという不正が横行します。

造幣局の説明によれば、ギザはこれを防ぐためにつけられました。細かい溝が縁にびっしり並んでいれば、削った瞬間に溝が途切れ、ひと目で分かります。飾りではなく、検査のための道具だったのです。

ニュートンは発明者ではない

ギザが国じゅうに広まったのは、17世紀末のイングランドでした。オックスフォード大学の研究プロジェクト「Newton & the Mint」によれば、1696年から1699年にかけての大改鋳で、削られた古い銀貨がほぼすべて機械打ちの新硬貨に置き換えられます。

指揮を執ったのが、王立造幣局にいたアイザック・ニュートンでした。ただしギザ自体はニュートンの発明ではありません。

縁に溝を刻む機械式の技術は、フランス人ピエール・ブロンドーらによって17世紀のうちに持ち込まれています。「ニュートンがギザを発明した」という話は俗説です。

今のギザは削り取り対策ではない

造幣局は、現在ギザがつけられている理由を「他の貨幣と区別するため」「偽造防止対策のため」と説明しています。素材の価値と額面が切り離された今、縁を削って得をする余地はありません。

ギザは削り取りを見破る仕掛けから、額面を見分ける手がかりへと役目を変えたのです。

ギザ十が8年で消えた理由

縁にギザのある10円玉、いわゆる「ギザ十」は、昭和26年(1951年)から昭和33年(1958年)に発行されたものです。当時は10円が最高額面の硬貨だったため、その印としてギザがつけられました。

ところが昭和32年(1957年)に100円銀貨が登場します。造幣局によれば、ギザのある10円貨と100円貨の区別が難しくなり、昭和34年(1959年)からギザなしのデザインに変わりました。ギザ十が作られたのは、わずか8年間だけです。

500円玉のギザは斜めに刻まれている

500円玉の側面をよく見ると、溝がまっすぐではなく斜めに傾いています。造幣局によれば、向きを斜めにすることで偽造抵抗力が上がり、大量生産型の貨幣では世界初の採用でした。

さらに2021年11月1日に発行が始まった新しい500円貨では、上下左右の4か所だけ溝の形を変えた「異形斜めギザ」が使われています。財務省によれば、通常の貨幣への導入は世界初。造幣局が独自に開発した技術です。

財布から500円玉を取り出して、側面をゆっくり回してみてください。斜めの溝が整然と並ぶなかに、形の違う一角が4つ見つかります。

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