1マイルは、兵士が千歩あるいた距離だった
1マイルのもとは、古代ローマの「ミッレ・パッスス」、つまり千歩です。ただしこの一歩は、右足と左足を1回ずつ運んで数えるもの。
足を地面につけた回数でいえば、二千回になります。しかも今の1マイルは、ローマの1マイルより130メートルほど長くなっています。
語源はラテン語の「千歩」
マイルという言葉は、ラテン語のmille passus(ミッレ・パッスス)から来ています。milleが千、passusが歩です。
アメリカ国立標準技術研究所(NIST)の解説によると、1ローマ・マイルは、帝国の兵士が隊列を組んで歩く千歩ぶんの距離でした。ここでいうpassusは、片足が地面についてから同じ足がまた地面につくまでを1と数えます。私たちの感覚では2歩ぶんです。
1歩は5ローマフィート
passusの長さは5ローマフィートと決められていました。1ローマフィートはおよそ11.65インチ、メートルに直すと約29.6センチです。
したがって1マイルは5000ローマフィート、およそ1480メートル。1歩あたり約1.48メートルという計算で、大股で歩いたときの2歩ぶんとよく合います。
ただしNISTが指摘するとおり、人が歩いて測る以上、この距離はあくまで概算でした。
1マイルのもとは、右足と左足の二歩をひと歩と数えて、兵士が千歩あるいた距離です。足を運んだ回数でいえば二千回。人の歩幅が、そのまま距離の単位になっていました。
1593年に長さが変わった
今の1マイルは1760ヤード、5280フィートです。この数字はイングランドで1593年、エリザベス1世の時代の法律によって決まりました。
1マイルを8ハロン、1ハロンを40ロッド、1ロッドを16フィート半としたためです。ハロン(furlong)は古英語のfurh(畝)とlang(長い)を組み合わせた言葉で、共同の耕地にある畝1本の長さを指しました。
ローマの1マイルより長くなったのは、この農地の単位に合わせたからです。
今は1609.344メートルちょうど
現在の1マイルは1609.344メートルと、小数点以下まで決まっています。1959年7月1日にアメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、南アフリカが1ヤードを正確に0.9144メートルと定め、1マイル=1760ヤードから自動的にこの値が決まりました。
兵士の歩幅から始まった単位が、最後はメートルによって定義されたわけです。
海の1マイルは別物
船や飛行機が使う海里(ノーティカルマイル)は、成り立ちがまったく違います。アメリカ海洋大気庁(NOAA)によると、海里は緯度1分ぶんの長さで、1929年に正確に1852メートルと定められました。
陸の1マイルの約1.15倍です。海図は緯度と経度で描かれているため、船乗りにはこちらのほうが測りやすいのです。
速さの単位ノットは、1時間に1海里進む速さを指します。
1マイルという長さには、ローマ兵の歩幅と、16世紀イギリスの畑と、20世紀のメートル法が積み重なっています。海外で距離表示のマイルを見かけたら、その数字がもともと二千回の足運びだったことを思い出してみてください。
参考にした資料