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マグロは眠るときも泳ぎ続けているって本当?

2026年7月 · 読了3分
マグロは眠るときも泳ぎ続けているって本当?

マグロは眠るときも泳ぎ続けています。自分でえらぶたを動かして水を送る力が弱く、口を開けて前に進むことでしか呼吸できないからです。

止まれば酸素が入ってこない。泳ぐことと息をすることが、同じ動作になっている魚なのです。

泳ぐことが呼吸そのもの

コイやタイなど多くの魚は、口とえらぶたをぱくぱく動かして水を吸い込み、えらに通します。だから止まったままでも呼吸できます。

マグロはこの動きが得意ではありません。代わりに口を開けたまま泳ぎ、飛び込んでくる水をえらに当てて酸素を取り出します。

この呼吸法を「ラム換水」と呼びます。農林水産省も、マグロはえらぶたを動かさず口を開けたまま泳ぐため、泳ぎ続けなければ呼吸できないと説明しています。

速く泳ぐほど水はよく入るので、高速で泳ぐ魚ほどこのやり方に向いているのです。

速さのために作り込まれた体

マグロの体は、水の抵抗を減らす方向にとことん特化しています。体型は紡錘形。

うろこは小さく、表皮に埋もれています。背びれ・胸びれ・腹びれは体の溝に折りたたんで収納でき、尾びれは大きく、それを動かす筋肉が発達しています。

さらに毛細血管が発達しているため、まわりの海水よりある程度高い体温を保てます。筋肉が温かければ、力を出し続けられるからです。

呼吸をえらぶたではなく泳ぎに任せたのも、この設計の延長線上にあります。

「時速80キロ」は俗説

「マグロは時速80キロで泳ぐ」とよく言われますが、これは実際に測った値とかけ離れた数字です。海洋生物学者の渡辺佑基さんが計測データを調べたところ、体重200〜300キロのクロマグロで最高でも時速18キロ、ふだんの遊泳速度は時速7キロ前後でした。

図鑑などで見かける「マグロ80キロ、カジキ100キロ」という数字に根拠はありません。マグロの体が優れているのは、瞬間の速さより、休まず泳ぎ続ける持久力のほうです。

止まらないだけで、休んではいます

泳ぎ続ける魚は眠らない、というわけではありません。魚は脳波を測るのが難しいため、眠りは行動で判断します。

休んでいるような姿勢をとる、刺激に反応しにくくなる。こうした状態を「行動睡眠」と呼び、北海道大学の研究でもこの基準で魚の眠りが調べられています。

マグロは止まって休めないので、泳ぎながら活動を落としていると考えられます。ただし、いつ、どのくらい休んでいるのかは、まだはっきり分かっていません。

「脳を半分ずつ眠らせる」は確かめられていない

マグロは脳を左右半分ずつ眠らせて泳いでいる、という説明も広く出回っています。ただしこれは裏づけのない俗説です。

脳を片方ずつ眠らせる半球睡眠が脳波で確認されているのは、イルカやオットセイなどの海の哺乳類と、一部の鳥だけ。マグロを含む魚類で同じ現象が確認されたという報告はありません。

泳ぎながら休んでいるのは確かでも、その中身はまだ研究の途中なのです。

水族館でマグロの群れを見る機会があれば、口元に注目してみてください。少し開いたまま泳いでいれば、それがマグロの呼吸している姿です。

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