5000万年前から続く、世界最古級のナミブ砂漠
ナミブ砂漠は、アフリカ南西部の大西洋岸に沿って2000キロ以上のびる砂漠です。少なくとも5500万年前から乾いた状態が続き、世界でもっとも古い砂漠とされています。
雨はほとんど降りません。それでも生き物が暮らせるのは、海から流れ込む霧のおかげです。
どれくらい古いのか
ナミブ砂漠は、およそ5500万年から8000万年ものあいだ、乾燥または半乾燥の状態を保ってきたと考えられています。恐竜が絶滅したのが約6600万年前ですから、その前後からずっと乾いていた計算になります。
環境が長く変わらなかったため、ここにしかいない固有種の数は、世界のどの砂漠よりも多いといわれます。
雨より霧が多い場所
年間の降水量は、もっとも乾いた場所でわずか2ミリ。内陸の斜面まで来ても200ミリほどです。
ところが海沿いでは、年に180日以上も濃い霧が発生します。冷たいベンゲラ海流の上を暖かい空気が通ると、水蒸気が冷やされて霧になるためです。
この砂漠では、雨ではなく霧が水の主な供給源になっています。
霧を飲む生き物たち
霧を利用する生き物の代表が、ゴミムシダマシの仲間(学名 Onymacris unguicularis)です。朝、砂丘の尾根で頭を下にして逆立ちし、なめらかな上ばねに結んだ霧のしずくを、背中づたいに口へ流し込みます。
植物ではウェルウィッチアが知られています。ナミブ以外には自生せず、やはり海霧から水分を取り込んで生きています。
砂丘が赤い理由
ナミブの砂丘が赤いのは、砂に含まれる鉄分が長い年月をかけて酸化したからです。鉄が錆びるのと同じ現象が、砂粒の表面で起きています。
だから古い砂丘ほど赤みが濃くなります。砂そのものは、南を流れるオレンジ川が大西洋へ運んだもの。
それが北へ向かう海流で沿岸に運ばれ、海岸から風で内陸へ押し上げられて、今の砂丘になりました。
世界遺産になった砂の海
砂丘には300メートルを超えるものもあり、いちばん高いのは「ビッグダディ」と呼ばれる約325メートルの砂丘です。海岸には三日月形のバルハン砂丘、内陸には細長い線状砂丘と、風向きによって形が変わります。
この砂の海「ナミブ・サンド・シー」は約3万4000平方キロメートル。砂丘の規模は、中国のバダインジャラン砂漠に次ぐ世界2位とされます。
霧の影響を受ける大規模な砂丘地帯を持つ海岸砂漠は世界でここだけで、2013年にユネスコの世界自然遺産に登録されました。
砂丘のあいだには、粘土質の白い谷が点在します。ここに水が入るのは数年に一度あるかないかで、何年も干上がったままのこともあります。
有名なのがデッドフレイです。かつてこの谷を潤していた川が流れを変えたため、アカシアの一種であるラクダトゲの木が立ったまま枯れました。
黒く焦げたような幹と、白い塩の地面、背後の赤い砂丘。この三色が、ナミブを代表する風景になっています。
ナミブ砂漠の赤は、5500万年ぶんの錆の色です。写真を見るときは、色の濃い砂丘ほど年季が入っている、という目で眺めてみてください。同じ景色が違って見えてきます。
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