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お茶は何℃で淹れる?玉露・煎茶・ほうじ茶で湯の温度が違う理由

2026年10月公開 · 読了7分
木のテーブルに置いた朱色の急須と、緑茶を入れた白い湯のみ

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お茶を淹れる湯の温度は、「何を引き出したいか」で決めます。うま味を味わう玉露は50〜60℃、上級煎茶は70℃、香ばしさを楽しむほうじ茶や番茶は熱湯が目安です(農林水産省「茶の淹れ方マニュアル」)。

温度で味が変わるのは、うま味のもとと渋み・苦みのもとで、湯に溶け出す速さが違うからです。低い温度ではうま味が先に出て、温度を上げるほど渋みと苦みも出てきます。寒くなって急須を出す前に、温度の決め方を整理しておきましょう。

うま味のもとと、渋み・苦みのもと

緑茶の味は、大きく2つのグループの成分で決まります。1つは、うま味と甘みのもとになるテアニンなどのアミノ酸です。もう1つは、渋みのもとになるカテキン(タンニン)と、苦みのもとになるカフェインです。

農林水産省のマニュアルは、玉露を例にこの違いを説明しています。玉露はほかのお茶よりタンニンがやや少なく、カフェインは多いお茶です。そこで、アミノ酸類は溶けるけれど、カフェインなど苦み・渋みの成分は溶けにくい低温の湯を使います。温度は50〜60℃、時間は2分30秒が目安です。

つまり湯の温度は、味の配合を決める「つまみ」のようなものです。温度を下げればうま味の割合が増え、上げれば渋みと苦みもくわわります。

なお、テアニンが低い温度でも溶けやすい化学的な理由は、今回確かめた公的な資料に記載がありませんでした。ここでは、温度ごとに出てくる成分が違うという結果だけを扱います。

冷たい水では、渋みがどこまで減るか

温度の効果がいちばん分かりやすいのは、冷水で淹れたときです。農研機構は、品種「やぶきた」の茶葉2.5gに、100mLの冷水と80℃の湯を注いで成分を比べました。80℃で2分淹れたときの量を100%とした結果が次の表です。

冷蔵庫内(約10℃)の冷水で淹れたときの成分の溶け出す量。80℃の湯で2分淹れたときを100%とした比較(農研機構、農林水産省「新技術・新品種」2021年の成果より)
成分主な味冷水での量
テアニンうま味・甘みほぼ変わらない
EGC(カテキンの一種)—ほぼ変わらない
カフェイン苦み約50%
EGCG(カテキンの一種)渋み約20%

うま味のもとは冷水でもほぼ同じだけ出るのに、渋みに関わるEGCGは約5分の1に減っています。氷水(約0.5℃)を使うと、カフェインの溶け出しはさらに抑えられるそうです。

日本調理科学会誌(2013年)の研究でも、味覚センサーで測った渋みは、5℃・40℃・100℃と温度が上がるほど強くなる傾向でした。冷水から熱湯までの幅で見ると、「低温はうま味、高温は渋み」という方向は明確です。

ただし、60℃・70℃・90℃のように細かく温度を変えて、同じ茶葉の成分を比べた公的な数字は見つかりませんでした。表の目安温度は、この方向性をもとに茶の種類ごとに決められたものです。

お茶の種類ごとの湯温と時間

農林水産省と静岡県が示している一煎目の目安を並べました。

一煎目の湯温と浸出時間の目安(農林水産省「茶の淹れ方マニュアル」、静岡県「標準的なお茶のいれ方」)
お茶湯温時間(農林水産省)時間(静岡県)
玉露50〜60℃2分30秒上 2分30秒(50℃)・並 2分(60℃)
上級煎茶70℃標準1分30秒2分
中級(並)煎茶90℃1分
深蒸し煎茶(記載なし)30秒(記載なし)
番茶・ほうじ茶(農林水産省は玄米茶も)熱湯30秒30秒

深蒸し煎茶は、蒸す時間が普通の煎茶の2〜3倍と長いお茶です。葉の組織が壊れて粒が細かいので、成分が早く出ます。だから時間は30秒と短くてよく、水出しにも向きます。

番茶やほうじ茶は、うま味より火を通した香ばしい香りを楽しむお茶です。香りが引き立つよう、熱湯を使います。

浸出時間は、資料によって幅があります。煎茶なら、農林水産省は標準1分30秒、静岡県は上級2分・並1分です。迷ったら温度を先に合わせ、時間は好みで前後させてください。

迷ったときの決め方

袋に湯温が書かれていれば、まずそれに従います。記載がなければ、次の順で考えると決めやすくなります。

同じ煎茶でも、淹れる人の目的で温度は変わります。「上級なら70℃」と丸暗記するより、うま味と渋みのどちらを前に出すかで決めるほうが、茶葉が変わっても応用できます。

水も味に関わります。日本茶に向くのは硬度100mg/L以下、とくに30〜80mg/L程度の軟水です。硬度が高い水では、お茶の色が淡くなり、新鮮な香りが下がる場合があります。湯は一度しっかり沸騰させてから使います。

温度計がなくても湯は冷ませる

農林水産省のマニュアルによると、熱湯を別の器に移すたびに、湯温は5〜10℃下がります。熱湯をポットに移すと約90℃、さらに茶碗に移すと約80℃です。

この性質を使うと、器を移すだけで湯を冷ませます。茶碗に湯を注いで冷ませば、人数分の湯量も同時に量れます。上級煎茶の70℃をねらうなら、茶碗に移したあと少し置いてから急須に入れます。熱湯を何度も移すので、器を持つ手のやけどには気をつけてください。

二煎目は、一煎目よりやや高い湯温にして、時間を半分くらいに縮めます(煎茶なら45秒程度)。静岡県の資料では、時間は一煎目の約3分の1が目安です。

どちらの場合も、急須の湯は「最後の一滴」まで注ぎ切ります。湯が残ると、次に淹れるまでに成分が出続けて、二煎目が渋くなるからです。茶葉は、使った量の約4倍の湯を吸います。

湯温を合わせやすくする道具

器を移す方法で十分に淹れられますが、「いま何℃か」を確かめたいときは温度計が役立ちます。茶葉に合わせて急須を選ぶのも1つの手です。温度計で味がよくなると確かめた検証はありません。目安の温度に合わせやすくなる道具として3つ挙げます。価格は2026年10月時点の楽天市場の表示です。

湯冷ましの温度を確かめる:タニタ デジタル温度計 TT-583 約1,600円。測定範囲は-50〜240℃と記載されています。先端の感温部(約20mm)が湯に完全に浸るように入れ、容器の底や壁に触れさせないのが正しく測るコツです。
向いている人:玉露や上級煎茶の50〜70℃を守りたい人。向かない人:丸洗いしたい人(防滴IPX2のため丸洗いは不可)。

深蒸し煎茶をよく飲む:常滑焼 深蒸し茶用 急須「茶が楽」380cc 約3,980円。深蒸し茶用として売られている急須で、茶こしの形は「スーパーワイド」と記載されています。深蒸し煎茶は粒が細かいので、茶こしの形で選ぶのが近道です。
注意:手作業で作るため形や色に個体差があり、ピンホールが出る場合があると記載されています。レビューには、使ううちに目詰まりした、という声もあります。

茶葉の開きを見ながら淹れる:HARIO 茶茶急須 丸 450ml(耐熱ガラス) 約1,000円(送料別)。耐熱ガラスの急須で、茶こしはステンレスです。お茶の色の出方を目で確かめられます。
向いている人:浸出時間を色で覚えたい人。向かない人:1人分だけ淹れたい人(450mlは、煎茶1人分100mlの目安で4杯分ほど)。

よくある疑問

水出し茶のほうが体にいいのですか?
体への効果は、この記事では判断しません。確かめられたのは成分の量までです。冷水ではカフェインが約半分、渋みに関わるEGCGが約5分の1になり、うま味のテアニンはほぼ同じだけ出ます。
茶葉はどれくらい入れればいいですか?
農林水産省の目安では、煎茶は1人分(100ml)で2〜3gです。1人分だけ淹れるときは4〜5gにすると二煎目もおいしい、と書かれています。
ほうじ茶を冷ました湯で淹れてもいいですか?
淹れられますが、ほうじ茶は焙じた香りを楽しむお茶なので、目安は熱湯です。香りが立ちにくいと感じたら、熱湯で30秒を試してください。

まとめ

お茶の味が湯温で変わるのは、うま味のテアニンと、渋みのカテキン・苦みのカフェインで溶け出しやすさが違うからです。冷水では渋みに関わるEGCGが約5分の1まで減り、うま味のテアニンはほぼそのまま出ます。

次に急須を使うときは、まず茶葉の種類を見てください。うま味なら50〜70℃、香ばしさなら熱湯です。温度計がなければ、熱湯を茶碗に移すたびに5〜10℃下がる目安で冷ませます。

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