雑学

お金には汚れと細菌がついている?触った後の習慣

2026年7月 · 読了3分
お金には汚れと細菌がついている?触った後の習慣

お金に細菌がついているのは事実です。世界中の研究が、実際に紙幣や硬貨から菌を見つけてきました。

ただし「だからお金で病気になる」という部分は、証拠がそろっていません。どこまでが確かめられていて、どこからが俗説なのかを分けて見ていきます。

お金から見つかる菌

紙幣や硬貨に微生物がついているという報告は、1800年代の終わりから100本以上積み重なってきました。そのうち3分の2ほどは、ここ10年に集中しています。

見つかるものの多くは、人の皮膚にふだんからいる菌です。そこに黄色ブドウ球菌や大腸菌、サルモネラなど、食中毒や化のうにかかわる菌が混じることもあります。

お金だけが特別に汚いというより、人の手が触れたものには菌がつく、というほうが正確です。

紙幣と硬貨で残り方が違う

2016年に発表された実験は、5種類の菌を紙幣と硬貨につけて経過を追いました。使われたのは大腸菌O157、リステリア、サルモネラ、黄色ブドウ球菌、クロノバクターです。

綿を原料にした紙幣では、菌の数が最初の15日ほどほとんど減りませんでした。いっぽう硬貨では1週間で菌がほぼゼロまで減り、さらに時間がたつとすべての硬貨から菌が検出されなくなりました。

プラスチック製のポリマー紙幣も、1週間で10万分の1まで落ちています。

差を生むのは表面のつくり

理由は素材の表面にあります。綿や紙は細かい繊維が絡み合っていて、菌がひっかかる足場がたくさんあります。

しみ込んだ水分も抜けにくく、菌は乾燥から守られます。ポリマー紙幣の表面はなめらかで水をはじくため、菌がしがみつく場所がありません。

同じ「紙幣」と呼ばれていても、素材が違えば結果は大きく変わるのです。

硬貨が強いのは銅のはたらき

硬貨がとくに菌に厳しいのは、金属そのものに理由があります。銅とニッケルを含む合金は、菌の増殖を抑える働きを示しました。

日本の硬貨も銅が主役です。造幣局によると、10円青銅貨は銅が95パーセント、5円黄銅貨は60〜70パーセント、50円と100円の白銅貨は75パーセントを占めます。

財布の中の小銭は、それ自体が菌の住みにくい場所なのです。

では、お金で病気になるのか

ここが肝心なところです。2023年に医学雑誌「Journal of Medical Virology」に載った総説は、これまでの研究を見渡したうえで、紙幣と硬貨は一般の人にとって特別な感染のリスクにはならない、と結論づけています。

菌がついていることと、それで人が病気になることは別の話です。お金が病気を広めるという話は、実際の感染事例では裏づけられていません

広く語られてはいますが、俗説として受け止めるのが正確です。

とはいえ、食事の前に手を洗う習慣そのものは有効です。ただしそれは、お金だけが危ないからではありません。

ドアノブでも、つり革でも、スマートフォンでも、手はいろいろなものに触れています。お金を特別扱いするより、食べる前に洗うという当たり前の習慣を続けるほうが役に立ちます。

お金に菌がいるのは事実、お金で病気になるのは未確認。この2つを分けて覚えておけば十分です。

次に小銭を触ったときは、あわてて手を洗うより、食事の前に落ち着いて洗うことを思い出してください。

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