お札は普通の紙じゃない?材料はみつまたとアバカ
お札はれっきとした紙です。ただし、原料がまるで違います。
コピー用紙のような木材パルプではなく、みつまたとアバカ(マニラ麻)という植物の繊維から作られています。「紙じゃない」と言われるほど手ざわりが違うのは、材料そのものが別物だからです。
材料はみつまたとアバカ
お札の用紙の原料は、みつまたとアバカ(マニラ麻)です。国立印刷局によると、みつまたは古くから和紙の原料に使われてきた植物で、明治12年(1879年)にお札用紙の原料として初めて採用されました。
以来140年以上、その伝統が受け継がれています。一方、私たちがふだん使うコピー用紙やノートの原料は、おもに木材から作るパルプと古紙です。
出発点からして別の紙だといえます。国立印刷局は、この2つの原料が独特な感触と風合いを生み、流通環境にも適した丈夫な用紙になると説明しています。
繊維をすりつぶして絡ませる
丈夫さは原料だけで決まるわけではありません。国立印刷局の工程では、まずアバカのパルプを細かく刻み、水の中で繊維をほぐします。
そこから異物を取り除き、繊維をすりつぶして絡みやすくする「叩解(こうかい)」に進みます。繊維どうしがしっかり組み合うことで、薄いのに破れにくい紙になるのです。
人の手から手へ渡り、機械に通され、折り畳まれ、ときには水に濡れる。お札はそういう使われ方に耐えなければなりません。
用紙ができたあとの印刷も特殊です。国立印刷局が開発した印刷機を使い、裏面、表面の順に、オフセット印刷と凹版印刷を連続して行います。
すかしは印刷ではない
肖像の横に浮かぶ「すき入れ(白黒すかし)」は、あとから印刷したものではありません。紙料を網の上へ薄く流して紙をすく「抄造」の工程で、紙そのものに作り込まれます。
紙をすく段階でしか作れないからこそ、偽造に対する強い抑止力になっています。
それでも寿命は数年
これだけ丈夫でも、お札は永久には使えません。日本銀行によると、平均的な寿命は一万円券で4〜5年程度。
五千円券と千円券は、おつりとしてやり取りされる回数が多く傷みやすいため、1〜2年程度です。流通に適さなくなったお札は日本銀行の本店や支店で細かく裁断され、その裁断くずはトイレットペーパーなどにリサイクルされ、残りは一般廃棄物として自治体の焼却施設で処分されます。
丈夫な紙も、最後は身近な日用品に姿を変えているわけです。
手ざわりが最初の見破りポイント
国立印刷局は、お札独特の色や風合い、触ったときの感触こそ偽造発見の第一手だと説明しています。すかしを光にかざすより前に、指のほうが先に違和感に気づくというわけです。
その感覚を支えているのが、みつまたとアバカという原料と、叩解や抄造の工程です。手ざわりは真似のしにくい特徴であり、日常的に本物と偽物を分ける最初の関門になっています。
次にお札を受け取ったら、まず指の腹でこすってみてください。コピー用紙にはない張りと引っかかりが、材料の答えそのものです。
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