白髪はなぜ生える?髪の色のしくみ
白髪が生えるのは、髪に色をつける細胞が足りなくなるからです。髪はもともと色のない毛で、黒く見えるほうが後から染められた姿です。
加齢だけでなく、ストレスとの関係を調べた研究も進んでいます。一方で「抜くと増える」という話には、根拠がありません。
年を重ねると増えてくる白髪。黒かった1本が途中から白く変わった、と感じる人は多いはずです。
ところが実際には、いま生えている髪が色を失うわけではありません。色をつけられないまま伸びた髪が、新しく生えてきているのです。
髪はもともと色のない毛
髪の本体は、ケラチンというタンパク質でできた繊維です。この繊維そのものに色はありません。
色は、毛が伸びていく途中でメラニンという色素を受け取ることで生まれます。メラニンには黒や茶色になるユーメラニンと、赤や黄色になるフェオメラニンの2種類があり、その量と割合で黒髪、茶髪、金髪、赤毛の違いが決まります。肌の色を決めているのも、同じメラニンです。
色をつけているのは毛の根元の細胞
髪に色をつけているのは、毛の根元にあるメラノサイトという細胞です。ここで作られたメラニンが、髪をつくる細胞へ受け渡され、伸びていく毛の中に取り込まれます。
メラノサイトは使われると減っていくため、毛穴の中にひかえている色素幹細胞から補充されます。この補充が続くかぎり、色のついた髪が生え続けます。
年をとると補充が追いつかなくなる
白髪が出るのは、色素幹細胞が減って補充が間に合わなくなったときです。ハーバード大学医学部の解説は、白髪の主な要因は加齢と遺伝だとしています。
さらに東京大学医科学研究所などのグループは2025年10月、傷ついた色素幹細胞が「老化分化」というしくみで毛包から自ら取り除かれると報告しました。この排除がうまく働かないと、残った細胞が皮膚がんの一種であるメラノーマにつながる恐れがあるといいます。
白髪は、危険な細胞を処分した跡かもしれない、という見方です。
ストレスで白髪になるのか
2020年に科学誌ネイチャーで発表された研究では、マウスに強いストレスを与えると、交感神経から出るノルアドレナリンが色素幹細胞を一度に使い切らせ、数日で毛が白くなりました。ただしハーバード大学医学部は、これがそのまま人にあてはまるかはまだ分からない、と注意を促しています。
「一晩で白髪になった」という逸話も確かめられていません。いったん生えた髪の色は、途中で変わらないからです。
「抜くと増える」は俗説
白髪を1本抜くと10本に増える、という話に根拠はありません。米アーカンソー大学医科学部の医師は、1つの毛穴から生える毛は1本だけなので、抜いてもその毛穴からまた白髪が生えるだけだと説明しています。
増えたように見えるのは、年齢とともに白髪そのものが増えているからです。むしろ同じ場所を繰り返し抜くと、毛穴が傷んで炎症や跡が残り、毛が生えなくなることもあります。
白髪は「色が抜けた」髪ではなく、「色をつける係が足りなくなった」髪です。気になる1本を見つけたら、抜かずに根元から切る。覚えておくのは、それだけで十分です。
参考にした資料