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トビウオは400メートルも空を飛ぶって知っていますか?

2026年7月 · 読了2分
トビウオは400メートルも空を飛ぶって知っていますか?

トビウオは羽ばたきません。大きな胸びれを翼のように広げ、風に乗って滑空します。

記録に残っている最長の滑空は45秒。2008年5月、鹿児島県の海で日本の撮影クルーがとらえた映像が、ギネス世界記録として認定されています。

よく語られる「400メートル」は、その最長級の報告値です。

ふつうは50メートル、最長で400メートル

ギネス世界記録によると、トビウオが一度に滑空する距離はおよそ50メートルです。400メートル進んだという報告もありますが、こちらは例外的な記録にあたります。

時間の記録ははっきりしていて、最長は45秒。鹿児島県の口永良部島と屋久島を結ぶフェリーから、NHKの撮影クルーが2008年5月に撮影しました。

フェリーの速さと比べて、この魚は時速およそ30キロで進んでいたと見積もられています。それまでの記録は、1920年代にアメリカの研究者が計った42秒でした。

助走は水の中から始まる

トビウオは、いきなり飛び出すわけではありません。まず水中で尾びれを激しく振って速度を上げ、体を斜め上に向けます。

水面を破ったあとも、すぐには宙に浮きません。尾びれの下半分だけを水につけたまま左右に振り続け、水上をすべるように加速していきます。

この助走で時速60キロに届き、そこでようやく体全体が空中へ出ます。跳び上がる高さは、海面から6メートルに達することもあります。

400メートルのからくり

400メートルは、一度の滑空で稼いだ距離ではありません。トビウオは高度が下がってくると、体を沈めずに尾びれだけを水に入れて振り、その場で加速し直します

着水せずに滑空をつなぎ直すわけです。これを何度もくり返した結果が、400メートルという飛距離になります。

海面すれすれを飛ぶ理由

2010年、韓国の研究チームがハマトビウオの標本を風洞に入れ、体にはたらく空気の力を実際に測りました。分かったのは、海面に近いほど空気抵抗が減り、よく滑るということです。

地面効果と呼ばれる現象で、水面が空気の逃げ場をふさぐために起こります。トビウオが高く上がらず、波の上を低くなぞるように飛ぶのは、そのほうが遠くまで届くからです。

鳥に並ぶ滑空性能

同じ実験で、後ろにある腹びれの役割も分かりました。前の大きな胸びれと後ろの小さな腹びれが前後に並ぶと、その間の空気の流れがジェットのように加速し、揚力と抵抗の比が上がります。

測定された最大の比はおよそ4.4。これはタカやウミツバメ、アメリカオシといった鳥と同じ水準で、空を飛ぶ多くの昆虫を上回る値です。

トビウオ科の魚は世界に60種以上いて、胸びれだけが大きい種と、腹びれも大きい種に分かれます。

シイラやマグロ、カジキに追われたとき、水の中では逃げ切れない。だから空へ出る。

次に船に乗る機会があったら、飛び出す瞬間ではなく、着水しかけた魚が尾で水を叩く場面を探してみてください。そこが400メートルを生む場所です。

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