東京タワーがエッフェル塔より高いのを知っていますか?
東京タワーの高さは333メートル。手本にしたパリのエッフェル塔は、1889年の完成時で312メートルでした。
21メートル高い計算になります。ただし333メートルという数字を決めたのは、エッフェル塔ではなくテレビの電波でした。いまの差は何メートルなのか、重さや展望台の高さはどう違うのかまで、数字で比べます。
333メートルは電波が決めた
東京タワーの公式サイトは、高さの根拠をはっきり説明しています。東京のVHFテレビ7局以上と、将来開局が予定されるUHFテレビ局が、関東一円に電波を送る。想定した範囲は、北は水戸から南は沼津まで、東は銚子から西は甲府までです。
そのために必要な鉄塔の高さを電波科学の専門家が検討した結果が、333メートルでした。昭和33年の開業と3が並んだのは偶然です。
それまで各局は自前の電波塔を別々に建てていて、視聴者はチャンネルを替えるたびに屋根のアンテナの向きを直す必要がありました。電波塔を1本にまとめる、というのが建設の目的だったのです。
とはいえ、エッフェル塔をまったく意識していなかったわけでもありません。公式サイトによると、創業者の前田久吉には「どうせ作るならエッフェル塔の高さをしのぐものを」という思いがありました。電波の計算と創業者の願いが、333メートルで重なったことになります。
エッフェル塔との差は、いまは3メートル
エッフェル塔はその後もアンテナを付け足しています。公式サイトが公表している現在の高さは約330メートル。
完成時の312メートルから18メートルほど伸びました。東京タワーは333メートルのままですから、差は3メートルにまで縮まっています。
それでも東京タワーのほうが高い、という関係は変わっていません。なお完成した1958年当時、東京タワーは自立式の鉄塔として世界一の高さでした。
エッフェル塔は、1889年のパリ万国博覧会の目玉として建てられた塔です。完成から約40年間、世界一高い建造物でした。1930年にニューヨークのクライスラー・ビルが完成して、その座を譲っています。
3つの塔を数字で比べる
東京タワー・エッフェル塔、そして2012年に完成した東京スカイツリーを並べると、それぞれの時代の技術が見えてきます。
| 項目 | 東京タワー | エッフェル塔 | 東京スカイツリー |
|---|---|---|---|
| 完成 | 1958年12月 | 1889年3月 | 2012年2月 |
| 高さ | 333m | 約330m(完成時312m) | 634m |
| いちばん高い展望台 | 250m | 276m | 450m |
| 骨組みの材料と重さ | 鋼材 約4000トン | 錬鉄 7300トン | — |
| 工期 | 543日 | 約2年2か月 | 約3年7か月 |
| 塗り替え | 約7年ごと | 7年ごと | — |
スカイツリーの634メートルは2009年10月に決まり、塔は2011年3月31日にその高さへ到達しました。2013年5月31日にはNHKと在京の民放キー局、あわせて6社の本放送がスカイツリーから始まっています。東京タワーが担ってきた電波塔の主役は、55年ほどでスカイツリーへ引き継がれたことになります。
意外なのは展望台の高さです。塔全体は東京タワーが3メートル高いのに、いちばん上の展望台はエッフェル塔が276メートル、東京タワーのトップデッキが250メートル。人が立てる高さでは、エッフェル塔が26メートル上回っています。
重さはエッフェル塔のおよそ半分
東京タワーに使われた鋼材は約4000トン。いっぽうエッフェル塔は、公式発表で鉄の骨組みだけで7300トンあります。
21メートル高いのに、重さは半分ほどです。差を生んだのは材料でした。
エッフェル塔の素材は「錬鉄」と呼ばれる鉄で、当時は鋼が高価で大量に作れなかったのです。70年後の東京タワーは、強い鋼を当たり前に使える時代の建物でした。
組み立て方も違います。エッフェル塔は1万8038個の部品を250万本のリベットでつないでいます。東京タワーのリベットは16万8000本で、本数では15分の1ほどです。
大展望台より上に、戦車の鉄
東京タワーの鉄骨には、朝鮮戦争(1950〜1953年)でスクラップになったアメリカ軍の戦車の鉄が使われています。国立国会図書館のレファレンス事例には、複数の書籍がこの話を裏づけていることが記録されています。
民間業者がM4戦車など約90両を落札して解体し、形鋼に作り直したという内容です。使われたのは主に大展望台より上の部分で、大展望台は現在のメインデッキ(地上150メートル)にあたります。当時の日本は良質な鋼材が不足していました。
ただし東京タワー自身がこの経緯を公式に説明しているわけではない、という点は押さえておきたいところです。
設計はすべて手計算、工期は1年半
設計を指導したのは、耐震構造の研究で知られる内藤多仲です。コンピューターのない時代ですから、風や地震に耐えるかどうかの計算は人の手で行われました。
工期は1年半、日数にして543日。延べ21万9335人が現場に入り、リベット16万8000本を打ち込んで、1958年12月23日に完成しています。総工費は当時の金額で約30億円でした。
完成直後の人気はすさまじく、公式サイトによると1959年には年間約520万人が訪れました。累計の来塔者数は、2013年6月に1億7000万人を超えています。
足元も頑丈です。公式サイトによると、4本の脚はそれぞれ直径2メートルの鉄筋コンクリート柱10本で支えられ、1脚だけで4000トンの重さに耐えます。塔は風速約90メートルの風にも耐える設計です。
赤と白は航空法の色
東京タワーは赤と白に見えますが、公式サイトによると正確には「インターナショナルオレンジ」と白の2色です。一定の高さを超える建物にはこの色を使うよう、航空法で決められています。
メインデッキより上は7つの帯に塗り分けられていて、建設当初から1986年(昭和61年)までは11の帯でした。
塗り替えはほぼ7年に1度で、1年がかりの作業です。塗る面積は9万4000平方メートル、使うペンキは3万4000リットル、延べ約9000人が作業にあたります。すべてハケを使った手塗りで、作業は日の出から営業開始の9時までにかぎられます。
エッフェル塔も7年ごとに60トンのペンキで塗り直されています。70年の時代差がある2つの塔が、同じ7年という周期で手入れされているわけです。
よくある疑問
- 東京タワーとエッフェル塔は、どちらが高いですか?
- 東京タワーです。東京タワーは333メートル、エッフェル塔はアンテナを含めて約330メートルで、差は3メートルです。ただし展望台はエッフェル塔の276メートルが、東京タワーの250メートルより高くなっています。
- 東京タワーはなぜ赤と白なのですか?
- 航空法で、一定の高さを超える建物には航空機から見えやすい塗り分けが求められるためです。色は正確にはインターナショナルオレンジと白で、ほぼ7年ごとに塗り直されています。
- 東京タワーは階段で上れますか?
- 上れます。地上150メートルのメインデッキまで約600段の外階段があります。公式サイトによると、幼稚園児でも15分ほどで上りきるそうです。エッフェル塔も地上から2階まで階段で上れ、1階までと2階までにそれぞれ300段以上あります。開放日や時間は天候などで変わるので、出かける前に公式サイトで確かめてください。
まとめ
東京タワーの333メートルは、関東一円に電波を届けるための計算から出た数字です。エッフェル塔との差は、アンテナが伸びたいまは3メートルになりました。
重さはエッフェル塔の約半分で、展望台の高さではエッフェル塔が上回ります。次に東京タワーを見上げるときは、メインデッキより上の7本の帯に注目してみてください。そこが、戦車だった鉄が形を変えて立っている区画です。
参考にした資料