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夜になるとなぜ眠くなる?体内時計と光の関係

2026年7月 · 読了3分
夜になるとなぜ眠くなる?体内時計と光の関係

夜に眠くなるのは、疲れがたまったからだけではありません。脳の奥にある小さな神経のかたまりが「夜が来た」と判断し、体を眠りへ切り替えています。

判断の材料になっているのは、目から入る光の量です。眠気は疲労の問題であると同時に、時刻の問題でもあります。

体内時計は24時間より11分長い

体のリズムを取りまとめる親時計は、脳の視床下部にある視交叉上核という部分です。左右合わせて約2万個の神経細胞でできています。

1999年に科学誌サイエンスで報告された実験によると、人の体内時計が刻む一周は平均24.18時間でした。24時間より11分ほど長い計算です。

放っておけば毎日少しずつ後ろにずれるため、時計は毎朝合わせ直す必要があります。同じしくみの時計は脳だけでなく、肝臓や皮膚など体のほぼすべての組織にあります。

親時計の役目は、それらの歩調をそろえることです。時計を動かす遺伝子のはたらきを解き明かした3人の研究者は、2017年にノーベル生理学・医学賞を受けました。

目には明るさ専用のセンサーがある

時計を合わせる合図は光です。網膜には、ものの形を見る細胞とは別に、明るさを測ることを専門にする細胞があります。

この細胞が持つメラノプシンという色素は、480ナノメートル前後の青い光にもっとも強く反応します。受け取った情報は、目から視交叉上核へ直接伸びる神経を通って届きます。

つまり脳は景色を見ているのではなく、青い光がどれだけ届いているかだけを測っているのです。

メラトニンは「夜が来た」という合図

夜だと判断した視交叉上核は、脳の松果体にメラトニンというホルモンを作らせます。

メラトニンは眠らせる薬ではなく、体じゅうの細胞に「今は夜だ」と伝える合図です。合図が届くと手足の血管が開き、体の中心にたまった熱が外へ逃げていきます。

深部の体温が下がっていくこのタイミングで、人は眠りに落ちます。

眠気をつくるしくみは二つある

体内時計だけでは眠気を説明しきれません。起きている間、脳にはアデノシンという物質が少しずつたまり、眠りたい圧力を高めていきます。

1982年にアレクサンダー・ボルベイが提唱した二過程モデルは、このたまる眠気と体内時計の二つで睡眠を説明します。徹夜明けの朝に妙に目が冴えるのは、圧力が最大でも、体内時計が朝に覚醒の力を強めて打ち消すからです。

コーヒーで眠気が飛ぶのは、カフェインがアデノシンの受け口をふさぐためです。夜ふかしが続けば圧力だけが積み上がり、休日の朝寝坊では今度は時計のほうがずれます。

夜の光が時計を後ろにずらす

このしくみの弱点は、脳が光の出どころを選べないことです。夜に強い光を浴びると脳は「まだ昼だ」と受け取り、メラトニンの分泌を抑えます。

アメリカ国立衛生研究所も、夜間の電子機器の光が体内時計を乱すと注意を促しています。ずれた時計を戻す手段も、やはり光しかありません。

夜は照明を落とし、朝は外の光を浴びる。この二つで時計は前へ戻ります。

今夜は寝る前の30分だけ、画面を消して部屋を暗くしてみてください。体内時計が一日かけて用意した合図は、それだけではっきり届くようになります。

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